子ども・成長期の膝が痛いとき|よくある原因と受診の目安
子どもや成長期の膝の痛みには、オスグッド病のような使い過ぎによる障害、半月板や前十字靱帯のけが、離断性骨軟骨炎など、さまざまな原因があります。
大人と異なり、子どもの骨には成長軟骨や腱が付着する成長途中の部分があります。そのため、同じ走る・跳ぶ動作でも、筋肉や腱だけでなく、骨の成長部へ負担が集中することがあります。
一方、「成長期だから痛む」「成長痛だろう」と決めつけるのは危険です。歩けないほどの痛み、膝の大きな腫れ、発熱、夜中に繰り返し目を覚ます痛みなどがある場合は、骨折、感染症、炎症性疾患、腫瘍などを除外する必要があります。
この記事では、子どもに起こりやすい膝の病気やスポーツ障害、受診の目安、運動を続けてよい場合、整形外科で行う検査について解説します。
当日または早めに医療機関を受診した方がよい症状
- 転倒やスポーツ外傷の後、体重をかけられない
- 膝が急に大きく腫れた
- 膝が引っかかって伸びない、曲げられない
- 膝蓋骨が外れた、または明らかな変形がある
- 膝が赤く熱を持ち、発熱や全身のだるさを伴う
- 足先が冷たい、白い、しびれる、動かしにくい
- 痛みのため歩き方が大きく変わった状態が続く
- 夜間痛が続き、睡眠を繰り返し妨げる
- 体重減少、食欲低下、強い疲労感などを伴う
成長期の膝は大人と何が違いますか?
子どもの骨は、成長軟骨を介して長くなります。また、腱や靱帯が骨に付着する部分にも、成長途中の骨や軟骨があります。
走る、跳ぶ、蹴る、急停止する動作が繰り返されると、筋肉や腱から引っ張られる力が、次のような場所へ集中することがあります。
- すねの骨の上端にある脛骨粗面
- 膝蓋骨の下端
- 大腿骨の関節面を支える軟骨下骨
- 半月板や靱帯の付着部
成長が速い時期には、体の大きさ、筋力、柔軟性、動作の感覚が短期間で変わります。そこへ練習量の急増や回復不足が重なると、膝の痛みが起こりやすくなります。
ただし、成長そのものが病気というわけではありません。痛みが出た場所、発症のしかた、腫れや不安定感の有無から原因を考える必要があります。
痛む場所から考えられる主な原因
| 主に痛む場所・症状 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 膝のお皿より下の骨の出っ張り | オスグッド・シュラッター病 |
| 膝蓋骨の下端 | Sinding-Larsen-Johansson病 |
| お皿の周囲・奥 | 膝蓋大腿痛、膝蓋骨不安定症 |
| お皿のすぐ下の腱 | 膝蓋腱障害(ジャンパー膝) |
| 膝外側の関節のすき間・引っかかり | 円板状外側半月板、半月板損傷 |
| 膝の奥の痛み・腫れ・引っかかり | 離断性骨軟骨炎 |
| 外傷後の急な腫れ・膝崩れ | 前十字靱帯損傷、膝蓋骨脱臼、骨軟骨損傷 |
| 両脚の広い範囲が夕方・夜に痛む | 典型的な成長痛の可能性 |
痛む場所は診断の手がかりですが、場所だけで病名を確定することはできません。子どもでは、股関節の病気による痛みを膝の痛みとして感じることもあるため、歩き方や股関節も確認します。
子ども・成長期に起こりやすい膝の病気とけが
1.オスグッド・シュラッター病
オスグッド病は、膝蓋腱が付着する脛骨粗面に痛みが出る成長期のスポーツ障害です。
- 膝のお皿より下にある骨の出っ張りが痛い
- 走る、跳ぶ、ボールを蹴ると痛む
- 膝をつくと痛い
- 押すと限られた場所が痛い
- 骨の出っ張りが目立つ
症状の程度に応じて運動量を調整し、太ももや股関節周囲の柔軟性・筋力を整えます。すべてのスポーツを一律に完全中止するのではなく、痛み、歩き方、運動後の反応を見て負荷を調整します。
2.Sinding-Larsen-Johansson病
Sinding-Larsen-Johansson病は、膝蓋骨の下端に痛みが起こる成長期の障害です。オスグッド病と同じように、走る、跳ぶ、蹴る動作の繰り返しが関係します。
- 膝蓋骨の下端を押すと痛い
- ジャンプやダッシュで痛む
- 階段やしゃがみ込みで痛む
- 膝蓋骨下端に限局した痛みがある
オスグッド病が脛骨粗面に起こるのに対し、この病気は膝蓋骨の下端に痛みが出ます。
Sinding-Larsen-Johansson病について詳しく見る
3.膝蓋大腿痛
膝蓋大腿痛は、膝蓋骨の周囲や奥に感じる痛みです。成長期の選手に多く、階段、スクワット、長時間の座位、走行やジャンプで痛みます。
原因を「膝蓋骨がずれている」「太ももの筋肉が弱い」だけで説明することはできません。練習量、筋力、動作、柔軟性、睡眠、痛みに対する不安など、複数の要因を評価します。
4.膝蓋腱障害(ジャンパー膝)
膝蓋腱障害は、膝蓋骨の下から膝蓋腱にかけて起こる痛みです。バスケットボール、バレーボール、陸上競技など、ジャンプや着地を繰り返す競技で起こりやすくなります。
- 膝蓋骨のすぐ下を一点で押すと痛い
- ジャンプや着地で痛む
- 運動開始時や運動後に痛い
治療では、競技負荷を調整しながら、腱と筋肉へ段階的に負荷を加える運動を行います。
5.離断性骨軟骨炎
離断性骨軟骨炎は、大腿骨の関節面を支える軟骨下骨に病変が生じる病気です。成長期のスポーツ選手にみられ、初期には運動時痛だけの場合があります。
- 走ると膝の奥が痛い
- 膝が腫れる
- 曲げ伸ばしで違和感がある
- 進行すると引っかかりやロッキングがある
骨の成長が残っており病変が安定している場合は、運動制限などによって治癒を目指せることがあります。病変が不安定な場合や治癒しない場合は、手術を検討します。
6.円板状外側半月板・半月板損傷
円板状半月板は、外側半月板が通常より大きく円板に近い形をしている、生まれつきの形態です。症状がなければ治療を必要としません。
損傷や不安定性が生じると、子どもの時期から次のような症状が出ることがあります。
- 膝外側の痛み
- 曲げ伸ばしで音が鳴る、はじける
- 膝が引っかかる
- 膝が完全に伸びない
- 運動後に腫れる
子どもの半月板損傷では、可能な限り半月板を温存し、修復できる場合は縫合を検討します。
7.前十字靱帯損傷
前十字靱帯損傷は、急停止、方向転換、ジャンプ着地、接触プレーなどで起こります。
- 受傷時に「ブチッ」「ポキッ」と感じた
- 数時間以内に膝が大きく腫れた
- 方向転換で膝が抜ける
- スポーツへ戻ると不安定感がある
成長期では、靱帯そのものが切れる代わりに、付着部の骨が剥がれる脛骨顆間隆起骨折が起こることもあります。
治療は骨の成長、膝の不安定性、競技、半月板損傷などを考慮して決めます。
8.膝蓋骨脱臼・膝蓋骨不安定症
膝蓋骨が外側へ外れる膝蓋骨脱臼は、思春期の子どもに多く、方向転換や着地などの非接触動作でも起こります。
- 膝蓋骨が外側へ動いた、外れた
- 膝が急に大きく腫れた
- お皿が外れそうで怖い
- 膝崩れを繰り返す
膝蓋骨が自然に戻った後も、骨軟骨損傷を伴うことがあります。初回の脱臼でも、腫れや痛みが強い場合は整形外科を受診してください。
9.二分膝蓋骨
二分膝蓋骨は、膝蓋骨の骨化部分が一つに癒合せず、分かれて残っている状態です。多くは症状がありませんが、運動や打撲をきっかけに痛むことがあります。
10.滑膜ヒダ障害
膝関節内の滑膜ヒダが刺激されると、膝の前内側の痛み、引っかかり、クリック音が起こることがあります。
半月板損傷や膝蓋大腿痛と症状が似ているため、診察による確認が必要です。
「成長痛」と膝の病気はどう違いますか?
一般に成長痛と呼ばれる良性の脚の痛みには、次のような特徴があります。
- 両脚に起こることが多い
- ふくらはぎ、太もも、膝の裏など広い範囲が痛む
- 夕方から夜に起こり、朝には改善している
- 痛みのない時間は普通に走ったり遊んだりできる
- 腫れ、赤み、熱感、関節の動かしにくさがない
- 診察で明らかな異常がない
「骨が急に伸びるから痛い」と証明されているわけではなく、原因は明確ではありません。
次の症状は典型的な成長痛とは異なります。
片脚だけの限局した痛み、日中の持続痛、運動中の痛み、歩行時のびっこ、腫れ、赤み、熱感、朝のこわばり、筋力低下、夜間痛が次第に悪化する場合は、医療機関で原因を確認してください。
スポーツは続けてもよいですか?
子どもの膝痛では、病名や重症度によって対応が異なります。すべての痛みに対して完全休止が必要なわけではありませんが、痛みを我慢して同じ負荷を続けることも適切ではありません。
負荷を調整しながら続けられる可能性がある状態
- 痛みが軽く、歩き方が変わらない
- 大きな腫れがない
- 運動中に痛みが増え続けない
- 運動後や翌朝に元の状態へ戻る
- 走る、跳ぶ、片脚動作を安全に行える
運動を中止または大きく減らした方がよい状態
- びっこを引く
- 運動中に痛みが強くなる
- 翌日まで痛みが増えている
- 膝が腫れる
- 膝が抜ける、引っかかる
- 局所の骨を押すと強く痛む
- ジャンプや片脚立ちができない
大会やレギュラー争いのために痛みを隠す子どももいます。保護者と指導者は、本人の言葉だけでなく、歩き方、動作、練習後の状態も確認してください。
自宅でできる初期対応
- 痛みを強くする走行、ジャンプ、深いしゃがみ込みを減らす
- 腫れや運動後の熱感がある場合は、布で包んだ保冷剤で10~15分程度冷やす
- 睡眠時間と食事を確保する
- 練習量や試合数が急に増えていないか確認する
- 痛みが軽くなったら、可動域と筋力を段階的に回復する
急性外傷、ロッキング、不安定感、強い骨の圧痛がある場合は、強いストレッチやマッサージを行わず、受診してください。
整形外科ではどのように診断しますか?
問診
痛みの場所、始まった時期、外傷の有無、競技、練習量の変化、腫れ、音、引っかかり、膝崩れ、夜間痛などを確認します。
診察
歩き方、膝の腫れ、圧痛、可動域、膝蓋骨の安定性、半月板・靱帯の所見、筋力、片脚動作を確認します。
子どもが膝の痛みを訴えていても、股関節の病気が原因となる場合があります。そのため、必要に応じて股関節の動きや鼠径部も診察します。
X線検査
骨折、骨端部の障害、離断性骨軟骨炎、二分膝蓋骨などを確認するために行います。典型的な軽い使い過ぎの痛みでは、必ずしも全員に必要ではありません。
超音波検査
膝蓋腱、腫れ、関節液、表面に近い組織の確認に役立つ場合があります。
MRI検査
半月板、前十字靱帯、骨軟骨、骨内部の病変などが疑われる場合に検討します。すべての成長期膝痛へ最初から行う検査ではありません。
成長期の膝障害を予防するために
- 練習量・走行距離・ジャンプ回数を急に増やさない
- 痛みを隠さず伝えられる環境をつくる
- 週単位で負荷の高い日と回復日を組み合わせる
- 下肢・股関節・体幹の筋力をバランスよく高める
- ジャンプ着地、減速、方向転換の動作を練習する
- 十分な睡眠と食事をとる
- 一つの動作や競技だけに負荷が偏らないようにする
- けがからの復帰を日数だけで決めない
ウォームアップだけですべてのけがを防ぐことはできませんが、筋力、バランス、着地、方向転換を含む神経筋トレーニングは、膝の外傷予防に役立ちます。
よくある質問
成長期の膝の痛みは放っておいても治りますか?
オスグッド病などは成長とともに落ち着くことが多いですが、痛みを我慢して負荷を続けると長引く場合があります。離断性骨軟骨炎、半月板損傷、靱帯損傷などは、放置すると治療が難しくなることがあります。
病院へ行くのは整形外科でよいですか?
運動や外傷に伴う膝痛、腫れ、引っかかり、ぐらつきは整形外科が基本です。発熱や全身状態の悪化がある場合は、当日中に受診できる医療機関へ相談してください。
レントゲンで異常がなければ大丈夫ですか?
レントゲンで骨折がなくても、半月板、靱帯、軟骨、骨内部の病変は分からないことがあります。症状が続く場合は、診察所見に応じてMRIなどを検討します。
サポーターをつければスポーツを続けられますか?
サポーターで安心感が得られる場合はありますが、原因となる病気や負荷を解決するものではありません。歩き方が崩れる、腫れる、膝崩れがある場合は、サポーターで我慢せず受診してください。
痛みがなくなればすぐ試合に戻れますか?
痛みがないことだけでは不十分です。腫れ、可動域、筋力、片脚スクワット、走行、ジャンプ、方向転換などが回復しているかを確認します。
身長が急に伸びたことが原因ですか?
成長期には骨、筋肉、腱、動作のバランスが変化しますが、身長が伸びたことだけで病気が決まるわけではありません。練習量、競技動作、筋力、柔軟性、回復状態などが複合して関係します。
片脚だけの夜間痛も成長痛ですか?
典型的な成長痛は両脚に起こり、朝には改善し、日中の活動や歩行に影響しません。片脚の限局した痛み、腫れ、びっこ、日中の痛み、進行する夜間痛は、ほかの病気を確認する必要があります。
まとめ
子ども・成長期の膝痛には、オスグッド病、Sinding-Larsen-Johansson病、膝蓋大腿痛、離断性骨軟骨炎、円板状半月板、前十字靱帯損傷、膝蓋骨脱臼などがあります。
痛む場所、発症のしかた、腫れ、引っかかり、不安定感から原因を考えます。成長期の痛みをすべて「成長痛」と判断しないことが重要です。
歩けない、膝が大きく腫れた、膝が伸びない、発熱がある、夜間痛や全身症状が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。
軽い使い過ぎによる痛みでは、完全休止だけでなく、負荷を調整しながら筋力や動作を回復させます。子ども本人、保護者、指導者、医療者が情報を共有し、成長と競技の両方を支えることが大切です。
参考文献
- Pediatric Orthopaedic Society of North America. Patellofemoral Knee Pain; Osgood-Schlatter; Osteochondritis Dissecans—Knee; Discoid Meniscus; Meniscus Tears; Patellar Dislocation; Tibial Spine Fractures.
- American Academy of Orthopaedic Surgeons. Overuse Injuries in Children; Osgood-Schlatter Disease.
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- Lehman PJ, Carl RL. Growing Pains: When to Be Concerned. Sports Health. 2017;9:132-138.
- Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guideline: The limping or non-weight bearing child.
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個々の診断や治療を代替するものではありません。

