子どもが夜になると「脚が痛い」と訴えることがあります。

昼間は元気に走っていたのに、夕方から夜にかけて太もも、すね、ふくらはぎ、膝のまわりを痛がる。

心配していると、翌朝には何もなかったように元気に歩いている。

このような痛みは、一般的に成長痛と呼ばれることがあります。

ただし、「成長痛」という名前から、身長が伸びるから痛い、骨が急に伸びるから痛い、と思われがちですが、実際には成長そのものが直接の原因とは限りません。

大切なのは、成長痛らしい痛みなのか、それともスポーツ障害や骨・関節の病気が隠れていないかを見分けることです。

この記事では、成長痛の特徴、考えられる原因、受診したほうがよい症状、自宅でできる対応、スポーツをしている子どもで注意したい痛みについてわかりやすく解説します。

子ども・成長期の膝や脚の痛み全体については、子ども・成長期の膝の痛みも参考にしてください。

この記事の結論

  • 成長痛は、夕方から夜に脚が痛くなり、朝にはよくなることが多い痛みです。
  • 両脚に出ることが多く、太もも、すね、ふくらはぎ、膝のまわりを痛がることがあります。
  • 朝や日中に痛みが続かず、歩き方が普通で、腫れや赤みがない場合は成長痛らしい経過です。
  • 「成長しているから必ず痛む」という意味ではありません。
  • 片脚だけ、歩けない、足を引きずる、腫れている、発熱がある場合は受診が必要です。
  • スポーツ後に毎回同じ場所が痛い場合は、成長痛ではなくスポーツ障害の可能性があります。
  • 自宅では、さする、温める、軽いストレッチ、睡眠・休養の見直しが役立つことがあります。

成長痛とは

成長痛とは、子どもにみられる脚の痛みの一つです。

医学的には、はっきりした炎症や外傷がなく、主に夕方から夜に起こる反復性の脚の痛みとして説明されます。

多くの場合、日中は元気に動けて、痛みは夜に出ます。

そして、翌朝には痛みが消えて普通に歩けることが特徴です。

痛みの場所は、膝そのものというより、太もも、すね、ふくらはぎ、膝の周囲など、脚全体に出ることがあります。

片側だけでなく、両脚を痛がることも多いです。

成長痛は本当に「成長」が原因ですか?

「成長痛」という名前のため、骨が伸びるときに痛むと思われることがあります。

しかし、成長痛は、身長が伸びる時期そのものと必ず一致するわけではありません。

そのため、現在では「成長そのものが痛みの直接原因」とは考えすぎない方がよいです。

むしろ、次のような要素が関係している可能性があります。

  • 日中によく動いた後の筋肉の疲労
  • 走る・跳ぶ・遊ぶ量が多かった日
  • 柔軟性や筋肉の使い方
  • 足の形や姿勢
  • 睡眠や疲労
  • 痛みに対する感じ方
  • 心理的な不安や緊張

つまり、成長痛は「骨が伸びて痛い」というより、子どもの生活、活動量、体の使い方、痛みの感じ方が関係した痛みと考えると理解しやすいです。

成長痛が起こりやすい年齢

成長痛は、幼児から小学生くらいの子どもでよくみられます。

特に、3〜12歳頃に多いとされます。

ただし、年齢だけで成長痛と決めることはできません。

中学生以降でスポーツ量が多い場合は、成長痛よりも、オスグッド病、シンスプリント、ジャンパー膝、疲労骨折などのスポーツ障害も考える必要があります。

成長痛の特徴

成長痛らしい痛みには、いくつかの特徴があります。

よくある特徴

  • 夕方から夜に痛くなる
  • 寝る前や夜中に痛みで起きることがある
  • 朝にはよくなっている
  • 日中は普通に歩いたり走ったりできる
  • 両脚に出ることが多い
  • 痛みの場所が毎回少し変わることがある
  • 腫れや赤みがない
  • 関節の動きは悪くない
  • 押しても一点だけ強く痛い場所がない

成長痛では、痛みの訴えは強くても、翌朝には普通に歩けることが多いです。

また、痛い場所に明らかな腫れ、熱感、赤みがないことが一般的です。

どこが痛くなりますか?

成長痛では、脚のいろいろな場所を痛がることがあります。

  • 太もも
  • すね
  • ふくらはぎ
  • 膝のまわり
  • 膝の裏

ただし、痛みが「膝のお皿の下だけ」「すねの内側だけ」「かかとだけ」のように、毎回同じ場所に集中する場合は、成長痛以外も考えます。

スポーツをしている子どもでは、痛みの場所によって原因が変わります。

成長痛とスポーツ障害の違い

成長痛とスポーツ障害は、どちらも子どもの脚の痛みとして現れます。

しかし、痛み方には違いがあります。

項目 成長痛らしい痛み スポーツ障害を疑う痛み
時間帯 夕方から夜に痛い 運動中・運動後・翌日にも痛い
朝の状態 朝にはよくなっている 朝や日中も痛みが残ることがある
歩き方 普通に歩ける 足を引きずる、走れない
痛みの場所 広い範囲、場所が変わることがある 毎回同じ場所が痛い
腫れ・熱感 通常はない ある場合は注意
運動との関係 日中よく動いた日に出ることがある 特定の動作で再現される

スポーツをしている子どもが、毎回同じ場所を痛がる場合は、成長痛と決めつけないことが大切です。

成長痛と間違えやすい病気・スポーツ障害

成長痛と思っていた痛みの中に、別の原因が隠れていることがあります。

オスグッド病

膝の下、すねの骨の出っ張りが痛くなる成長期のスポーツ障害です。

サッカー、バスケットボール、陸上など、走る・跳ぶ動作が多い競技で起こります。

オスグッド病も参考にしてください。

Sinding-Larsen-Johansson病

膝のお皿の下端が痛くなる成長期の障害です。

ジャンプやダッシュが多いスポーツでみられます。

Sinding-Larsen-Johansson病も参考にしてください。

ジャンパー膝

膝のお皿の下にある膝蓋腱が痛くなるスポーツ障害です。

ジャンプ、着地、ダッシュ、切り返しで痛みが出やすくなります。

ジャンパー膝も参考にしてください。

シンスプリント

すねの内側が痛くなるランニング障害です。

走り込み、ジャンプ、硬い路面、急な練習量増加で起こりやすくなります。

シンスプリントも参考にしてください。

疲労骨折

走る、跳ぶ動作を繰り返すことで、骨に小さな損傷が起こる状態です。

骨の一点を押すと強く痛い、歩いても痛い、片脚ジャンプで痛い場合は注意が必要です。

股関節の病気

子どもでは、股関節の痛みが膝や太ももの痛みとして現れることがあります。

足を引きずる、股関節を動かすと痛い、発熱がある場合は早めの確認が必要です。

子どもの股関節の痛みも参考にしてください。

受診したほうがよい症状

次のような症状がある場合は、成長痛と決めつけず、医療機関で確認することをおすすめします。

受診の目安

  • 片脚だけが強く痛い
  • 足を引きずる
  • 歩けない
  • 朝になっても痛い
  • 日中も痛みが続く
  • 痛みが日ごとに強くなる
  • 毎回同じ場所を痛がる
  • 腫れ、赤み、熱感がある
  • 関節が動かしにくい
  • 発熱がある
  • 体重減少、食欲低下、強いだるさがある
  • 夜間痛が強く、何度も繰り返す
  • 外傷後から痛みが続く

特に、歩き方がおかしい、発熱がある、腫れている、痛みが一か所に集中する場合は、早めに相談してください。

自宅でできる対応

成長痛らしい痛みで、危険な症状がない場合は、自宅で様子をみられることがあります。

1. さする・マッサージする

痛い場所をやさしくさすったり、軽くマッサージしたりすると落ち着くことがあります。

強く押す必要はありません。

子どもが安心するように、やさしく触れることが大切です。

2. 温める

入浴や温かいタオルで温めると、痛みが和らぐことがあります。

ただし、腫れ、赤み、熱感がある場合は、温める前に医療機関へ相談してください。

3. 軽いストレッチ

太もも、ふくらはぎ、足首まわりを軽く伸ばすことで、痛みが落ち着くことがあります。

痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。

子どもが嫌がる場合は無理に行わないでください。

4. 活動量を見直す

日中によく走った日、遠足や試合のあと、運動量が多かった日に痛みが出ることがあります。

痛みが続く場合は、数日間、走る量やジャンプの量を減らして反応をみます。

5. 睡眠と休養を整える

疲労がたまると、夜に痛みを感じやすくなることがあります。

睡眠不足、連日の練習、休養日が少ない場合は、生活全体を見直すことも大切です。

痛み止めは使ってよいですか?

痛みが強く眠れない場合は、医師や薬剤師に相談のうえ、子どもに使える痛み止めを使うことがあります。

ただし、痛み止めで痛みを隠して運動を続けるのはおすすめしません。

痛みが何度も続く場合、だんだん強くなる場合、日中も痛い場合は、原因を確認することが大切です。

スポーツをしてもよいですか?

典型的な成長痛で、朝には痛みが消え、歩き方も普通で、腫れや発熱がない場合は、通常の活動ができることが多いです。

ただし、次のような場合は、運動量を減らすか、受診を検討してください。

  • 運動中に痛みが出る
  • 練習後に毎回同じ場所が痛い
  • 翌朝も痛みが残る
  • 足を引きずる
  • ジャンプやダッシュで痛い
  • 痛みを我慢して練習している

スポーツをしている子どもでは、「成長痛だから大丈夫」と決めつけないことが重要です。

運動量の調整については、休み方を考えるも参考になります。

保護者が見ておきたいポイント

子どもの痛みでは、本人の言葉だけでなく、普段の動きも大切です。

確認したいこと

  • 朝は普通に歩いているか
  • 走り方が変わっていないか
  • 足を引きずっていないか
  • 痛む場所が毎回同じか
  • 腫れや赤みがないか
  • スポーツ後に強く痛がっていないか
  • 発熱や体調不良がないか
  • 痛みで学校生活に支障がないか

子どもは、試合に出たい、練習を休みたくないという気持ちから、痛みを隠すことがあります。

いつもと歩き方や動きが違う場合は、無理をさせないことが大切です。

よくある質問

Q1. 成長痛は身長が伸びている証拠ですか?

必ずしもそうではありません。成長痛という名前ですが、身長が伸びること自体が直接の原因とは限りません。活動量、疲労、筋肉の緊張、痛みの感じ方などが関係している可能性があります。

Q2. 成長痛は何歳くらいに多いですか?

幼児から小学生くらいに多く、3〜12歳頃でよくみられます。ただし、年齢だけで成長痛と判断せず、痛み方や歩き方、腫れの有無を確認することが大切です。

Q3. 夜だけ痛くて朝には治るなら大丈夫ですか?

典型的な成長痛では、夜に痛くなり、朝には普通に歩けることが多いです。ただし、痛みが強い、片脚だけ、毎回同じ場所、歩き方がおかしい、腫れや発熱がある場合は受診をおすすめします。

Q4. 成長痛でスポーツを休む必要はありますか?

朝には痛みが消え、日中に普通に動ける場合は、通常の活動ができることが多いです。ただし、運動中に痛い、練習後に毎回同じ場所が痛い、翌朝も痛い場合は、スポーツ障害の可能性もあるため確認が必要です。

Q5. 成長痛はマッサージしてよいですか?

やさしくさする、軽くマッサージする、温めることで落ち着くことがあります。強く押したり、痛みを我慢して伸ばしたりする必要はありません。

Q6. 成長痛と疲労骨折はどう違いますか?

成長痛は広い範囲に出て、朝にはよくなることが多いです。疲労骨折では、骨の一点が強く痛い、歩いても痛い、片脚ジャンプで痛い、痛みがだんだん強くなることがあります。疑わしい場合は受診が必要です。

まとめ

成長痛は、夕方から夜に子どもの脚が痛くなり、朝にはよくなることが多い痛みです。

名前に「成長」とありますが、成長そのものが直接痛みを起こしているとは限りません。

典型的には、両脚に痛みが出て、朝には普通に歩けることが多いです。

一方で、片脚だけ、歩けない、足を引きずる、腫れている、発熱がある、日中も痛い、毎回同じ場所が痛い場合は、成長痛と決めつけず受診をおすすめします。

スポーツをしている子どもでは、オスグッド病、シンスプリント、ジャンパー膝、疲労骨折なども考える必要があります。

痛みの時間帯、場所、運動との関係、朝の歩き方を観察し、心配な症状があれば早めに相談しましょう。

参考文献

  1. Growing pains: a noninflammatory pain syndrome of early childhood. Nature Reviews Rheumatology.
  2. Lehman PJ, Carl RL. Growing Pains. Sports Health. 2017.
  3. Growing Pains: When to Be Concerned. Pediatric review article.
  4. Mayo Clinic. Growing pains – Symptoms and causes.
  5. NHS. Growing pains.
  6. American College of Rheumatology. Growing Pains.
  7. American Academy of Orthopaedic Surgeons. The Limping Child.

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個々の診断や治療を代替するものではありません。歩行困難、跛行、腫れ、発熱、片脚だけの強い痛み、日中も続く痛み、痛みが悪化する場合は、整形外科などの医療機関へご相談ください。