しゃがむと膝が痛い、立ち上がるときに膝が痛い、正座や深い膝曲げがつらい。このような症状は、半月板損傷だけでなく、膝蓋大腿痛、変形性膝関節症、膝蓋腱障害、滑膜ヒダ障害、成長期の膝痛など、さまざまな原因で起こります。

しゃがみ込みでは、膝を深く曲げた状態で体重を支えるため、平地歩行よりも膝蓋骨と大腿骨の間、半月板、軟骨、腱、筋肉に大きな負荷がかかります。そのため、歩くときは大丈夫でも、しゃがむと痛みが出ることがあります。

大切なのは、単に「しゃがめない=半月板損傷」と決めつけないことです。痛む場所、引っかかり、腫れ、外傷の有無、年齢、スポーツや仕事の内容を合わせて原因を考えます。

早めに整形外科を受診した方がよい症状

  • しゃがんだ後から膝がロックして、完全に伸びない
  • ひねった、転んだ、スポーツ中に受傷した後から痛い
  • けがの後、数時間以内に膝が大きく腫れた
  • 体重をかけられない、歩けない
  • 膝が何度も抜ける、ぐらつく
  • 膝が赤く熱を持ち、発熱や全身のだるさを伴う
  • 膝の内側や後内側に突然強い痛みが出て、歩行もつらい
  • 痛みが日ごとに悪化し、夜間や安静時にも痛い
  • 子どもで、びっこ、腫れ、膝が伸びない症状がある

なぜしゃがむと膝が痛くなるのですか?

しゃがみ込みでは、膝を大きく曲げながら体重を支えます。膝を深く曲げるほど、膝蓋骨と大腿骨の間にかかる力が増え、半月板や軟骨、膝蓋腱にも負担がかかります。

ただし、負荷のかかり方は人によって異なります。膝の曲がる角度、股関節や足首の柔軟性、筋力、体重、床からの立ち上がり方、手を使うかどうかで変わります。

そのため、治療では「しゃがむことを一律に禁止する」のではなく、痛みを出す深さや動作を調整しながら、必要な筋力と可動域を回復します。

痛む場所から考えられる主な原因

痛む場所・症状 考えられる主な原因
お皿の周囲・奥が痛い 膝蓋大腿痛、膝蓋大腿関節症、膝蓋骨不安定症
関節の内側や外側が痛い 半月板損傷、変形性膝関節症、内外側の靱帯損傷など
お皿のすぐ下が痛い 膝蓋腱障害、成長期ではオスグッド病など
膝の前内側でパキッと引っかかる 滑膜ヒダ障害、膝蓋大腿痛など
しゃがんだ後に膝が伸びない 転位した半月板損傷、遊離体など
突然、後内側が強く痛い 内側半月板後根断裂、膝軟骨下不全骨折など

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膝の内側の痛みについて詳しく見る

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しゃがむと痛い主な原因

1.膝蓋大腿痛

膝蓋大腿痛は、膝蓋骨の周囲や奥に痛みを感じる状態です。しゃがみ込み、階段、立ち上がり、長時間座った後、走る動作などで痛みます。

  • お皿の周囲や奥が痛い
  • スクワットや階段で痛い
  • 長く座った後に立つと痛い
  • ゴリゴリ、コリコリすることがある
  • 走った後や運動後に痛む

膝蓋大腿痛では、膝を中心とした運動療法と患者教育が基本です。必要に応じて股関節周囲の運動、テーピング、足底板、動作調整などを組み合わせます。

「お皿がずれているから」「太ももの筋肉が弱いから」と一つの原因だけで決めつけず、痛みの出る動作、筋力、活動量、心理的な不安も含めて考えます。

膝蓋骨周囲の痛みについて詳しく見る

2.半月板損傷

しゃがみ込みやひねり動作で、膝の内側または外側の関節のすき間が痛む場合は、半月板損傷を考えます。

  • しゃがむと関節のすき間が痛い
  • ひねると痛い
  • 膝が引っかかる
  • 膝が完全に伸びない
  • 歩いた後や運動後に膝が腫れる

特に、しゃがんだ後から膝がロックして伸びなくなった場合は、転位した半月板が関節の動きを妨げている可能性があります。無理に伸ばそうとせず、早めに受診してください。

ただし、しゃがみ込みで痛いだけで半月板損傷と決まるわけではありません。中高年では変形性膝関節症や軟骨病変でも似た症状が起こります。

半月板損傷について詳しく見る

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3.変形性膝関節症

中高年以降では、変形性膝関節症がしゃがみ込み痛の原因になることがあります。変形性膝関節症では、軟骨だけでなく、半月板、軟骨下骨、滑膜、関節包、筋肉など関節全体に変化が起こります。

  • 立ち上がりや歩き始めが痛い
  • 階段やしゃがみ込みで痛い
  • 膝が腫れる、水がたまる
  • 正座や深い曲げ伸ばしが難しい
  • O脚やX脚が目立つ

治療の中心は、個人に合わせた運動療法、患者教育、必要な場合の体重管理です。深いしゃがみ込みを無理に続ける必要はありませんが、痛みのない範囲で膝を動かし、立ち上がりや歩行に必要な筋力を保つことが大切です。

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4.膝蓋腱障害

膝蓋腱障害は、膝蓋骨のすぐ下にある膝蓋腱に痛みが出る状態です。ジャンプ、ダッシュ、坂道、スクワット、立ち上がりで痛むことがあります。

  • お皿のすぐ下を押すと痛い
  • スクワットで膝下が痛い
  • ジャンプや着地で痛い
  • 運動開始時や運動後に痛む

腱の痛みでは、完全安静だけではなく、痛みの反応を見ながら段階的に負荷をかける運動療法が重要です。ただし、強い痛みを我慢して深いスクワットやジャンプを続けると長引くことがあります。

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5.滑膜ヒダ障害

滑膜ヒダは、膝関節内にある滑膜のひだです。肥厚や炎症が起こると、膝の前内側で痛みやクリック、引っかかりを感じることがあります。

  • 膝蓋骨の内側が痛い
  • しゃがむ途中でパキッとする
  • 階段や立ち上がりで痛い
  • 運動量が増えてから症状が出た

滑膜ヒダは健康な人にも存在するため、MRIで見つかっただけでは病気と決まりません。症状と診察所見が一致するかを確認します。

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6.膝蓋骨不安定症

しゃがみ込みや立ち上がりで、お皿が外れそう、カクッとする、前方が不安定と感じる場合は、膝蓋骨不安定症を考えます。

  • お皿が外れそうで怖い
  • 方向転換や着地で不安定
  • しゃがむとお皿の周囲が痛い
  • 膝蓋骨が外れたことがある

膝蓋骨が一度外れて自然に戻った場合でも、骨軟骨損傷を伴うことがあります。急に腫れた場合は画像検査で確認します。

膝がぐらつく症状について詳しく見る

7.内側半月板後根断裂・膝軟骨下不全骨折

中高年の方が、しゃがみ込み、立ち上がり、階段、小走りなどをきっかけに、膝の後内側へ突然強い痛みを感じた場合は、内側半月板後根断裂や膝軟骨下不全骨折を考えます。

  • 発症時に「ブチッ」「ポキッ」と感じた
  • 膝の後内側が強く痛い
  • 一歩ごとに痛む
  • 夜間や安静時にも痛む
  • X線で大きな異常がないと言われても痛みが強い

このような痛みは、通常の筋肉痛や軽い関節痛とは異なります。痛みを我慢して歩き続けず、早めに整形外科で評価してください。

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8.子ども・成長期の膝痛

子どもや成長期では、しゃがむと痛い原因として次の病気を考えます。

  • オスグッド病
  • Sinding-Larsen-Johansson病
  • 離断性骨軟骨炎
  • 円板状外側半月板
  • 膝蓋骨不安定症

子どもの膝痛をすべて「成長痛」と考えるのは危険です。片脚だけの痛み、腫れ、膝が伸びない、びっこ、運動後の腫れがある場合は受診してください。

子ども・成長期の膝痛について詳しく見る

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しゃがむと痛いとき、しゃがまない方がよいですか?

急な外傷、膝のロッキング、強い腫れ、発熱、突然の強い荷重時痛がある場合は、しゃがみ込みを中止し、原因を確認してください。

一方、慢性的な膝蓋大腿痛や変形性膝関節症などでは、膝をまったく曲げない生活を続けると、筋力や可動域が低下し、かえって動作が難しくなることがあります。

痛みを出さない範囲で、しゃがむ深さを浅くし、椅子や手すりを使いながら、段階的に動作を戻すことが大切です。

目標は「深くしゃがむこと」だけではありません。
日常生活で必要なのは、椅子から立つ、物を拾う、階段を使う、床から安全に立ち上がることです。正座や深いしゃがみ込みが必要かどうかは、生活様式に合わせて考えます。

痛みを減らすしゃがみ方の工夫

1.深さを浅くする

深くしゃがむほど膝への負荷は大きくなります。まずは、痛みが出ない範囲の浅い曲げ伸ばしから始めます。

床までしゃがむ必要がない場面では、椅子、台、長い柄の道具を使って膝を深く曲げる回数を減らします。

2.手を使う

手すり、机、壁、椅子の背もたれを使うと、膝へかかる負担を減らせます。痛みがある時期に手を使うことは悪いことではありません。

3.膝とつま先の方向をそろえる

しゃがむときに膝が大きく内側へ入ると、痛みが出やすい人がいます。膝とつま先をおおむね同じ方向へ向け、左右どちらかに体重が偏りすぎないようにします。

ただし、全員に同じフォームを強制する必要はありません。痛みが少なく、安定して行える範囲で調整します。

4.股関節も使う

膝だけを前に出してしゃがむのではなく、股関節を軽く曲げ、お尻を後ろへ引くようにすると楽になる場合があります。

ただし、腰痛がある人は無理に前傾しすぎないでください。

5.床から立ち上がる動作を工夫する

床から立ち上がるときは、手を床や椅子につき、片膝立ちや四つ這いを経由すると膝の負担を減らせることがあります。

膝が痛い側に体重を集中させないように、安定したものを使って立ち上がります。

自宅でできる運動

運動は、膝がロックしている、急に大きく腫れている、発熱がある、骨ストレス障害や膝軟骨下不全骨折が疑われる場合を除き、痛みのない範囲から行います。

1.椅子からの立ち上がり

  1. 安定した椅子に浅く座ります。
  2. 両足を肩幅程度に置きます。
  3. 体を少し前へ傾け、両脚で床を押して立ちます。
  4. ゆっくり座ります。

目安:6〜10回を1〜2セット。

痛い場合は、椅子を高くする、手を使う、回数を減らす方法で調整します。

2.浅いスクワット

  1. 壁や椅子の近くで立ちます。
  2. 膝とつま先をおおむね同じ方向へ向けます。
  3. 痛みのない範囲で少しだけ膝を曲げます。
  4. ゆっくり戻ります。

目安:5〜8回から開始します。

深く曲げる必要はありません。翌日に腫れや痛みが増える場合は、深さと回数を減らします。

3.股関節を横へ開く運動

  1. 手すりや椅子の背を持って立ちます。
  2. 体を大きく傾けず、片脚を横へゆっくり開きます。
  3. ゆっくり戻します。

目安:左右6〜10回を1〜2セット。

4.かかと上げ

  1. 手すりや椅子を持って立ちます。
  2. 両足のかかとをゆっくり上げます。
  3. ゆっくり下ろします。

目安:10〜15回を1〜2セット。

5.膝の曲げ伸ばし

膝が固くなっている場合は、仰向けでかかとを滑らせる運動や、座って膝をゆっくり伸ばす運動を行います。

痛みを我慢して無理に正座や深いしゃがみ込みを行う必要はありません。

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仕事や日常生活での工夫

  • 床作業では、低い椅子や台を使う
  • 長時間のしゃがみ込みを避け、こまめに姿勢を変える
  • 重い物を持って深くしゃがまない
  • 掃除や庭仕事では、膝をつくパッドや椅子を使う
  • 和式トイレがつらい場合は洋式を選ぶ
  • 床から立つときは、手をつく場所を確保する

しゃがむ作業が多い仕事では、単に我慢するのではなく、作業姿勢、道具、休憩、膝の保護具を見直すことが重要です。

整形外科ではどのように調べますか?

問診

痛みの場所、外傷の有無、しゃがむ深さ、膝が引っかかるか、腫れや夜間痛があるか、仕事やスポーツ内容を確認します。

診察

膝の可動域、腫れ、圧痛、膝蓋骨の動き、半月板、靱帯、筋力、歩行、スクワット動作などを評価します。

X線検査

変形性膝関節症、骨折、骨の変化、アライメント、離断性骨軟骨炎などを確認します。中高年の慢性的な痛みでは、まずX線を行うことが多いです。

MRI検査

半月板、靱帯、軟骨、骨内部の病変、膝軟骨下不全骨折などが疑われる場合に検討します。

ただし、しゃがむと痛い人全員に最初からMRIが必要なわけではありません。診察とX線、症状の経過から必要性を判断します。

膝の診察と検査について詳しく見る

よくある質問

しゃがむと痛いのは半月板損傷ですか?

半月板損傷は原因の一つですが、膝蓋大腿痛、変形性膝関節症、膝蓋腱障害、滑膜ヒダ障害などでも起こります。痛む場所、腫れ、引っかかり、外傷の有無を合わせて判断します。

正座や深いしゃがみ込みはしない方がよいですか?

痛みが強い時期や腫れがある時期は避けた方がよいです。痛みが落ち着いている場合も、無理に深く曲げる必要はありません。生活上必要な範囲で、段階的に戻します。

しゃがむと膝がポキポキ鳴ります。大丈夫ですか?

痛みや腫れがなく、動きが止まらない音だけであれば、急いで治療が必要でないことがあります。痛み、引っかかり、ロッキング、腫れを伴う場合は受診してください。

膝のポキポキ音・クリック音について詳しく見る

スクワットを続けてもよいですか?

軽い痛みで、運動後や翌日に悪化しない場合は、浅い範囲で負荷を調整して行えることがあります。強い痛み、腫れ、引っかかり、膝崩れがある場合は中止して原因を確認してください。

和式トイレで膝が痛い場合、治療すればできるようになりますか?

原因と関節の状態によります。筋力や可動域の問題であれば改善する可能性がありますが、進行した変形性膝関節症や強い可動域制限がある場合は、無理に和式動作へ戻すより生活環境を変える方が現実的なこともあります。

しゃがむと痛いけれど、歩くのは大丈夫です。受診は必要ですか?

痛みが軽く、腫れや引っかかりがなく、日ごとに改善していれば様子を見られることがあります。数週間続く、悪化する、仕事やスポーツに支障がある場合は整形外科で相談してください。

湿布で様子を見てもよいですか?

軽い痛みで改善傾向がある場合は短期間の使用で様子を見ることがあります。ただし、ロッキング、腫れ、突然の強い痛み、夜間痛がある場合は湿布だけで様子を見ないでください。

まとめ

しゃがむと膝が痛い原因には、膝蓋大腿痛、半月板損傷、変形性膝関節症、膝蓋腱障害、滑膜ヒダ障害、膝蓋骨不安定症、内側半月板後根断裂、膝軟骨下不全骨折などがあります。

痛む場所、引っかかり、腫れ、外傷の有無、突然発症か慢性かによって考える病気が変わります。

膝がロックして伸びない、外傷後に大きく腫れた、体重をかけられない、赤く熱を持つ、突然の後内側痛がある場合は、早めに整形外科を受診してください。

慢性的な痛みでは、深いしゃがみ込みを無理に続けるのではなく、椅子からの立ち上がり、浅いスクワット、股関節・膝周囲の筋力運動を、痛みの反応を見ながら段階的に行うことが大切です。

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※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個々の診断や治療を代替するものではありません。