膝の外側が痛む原因には、腸脛靱帯炎、外側半月板損傷、外側側副靱帯や膝後外側支持機構の損傷、変形性膝関節症などがあります。

ランニング中に徐々に痛くなる場合と、膝をひねったり衝突したりした直後から痛む場合では、考えられる原因が異なります。また、膝外側の関節のすき間、腓骨頭と呼ばれる骨の出っ張り、膝の後ろ寄りなど、痛む場所も診断の手がかりになります。

ただし、「腫れていないから軽い」「階段で痛むから腸脛靱帯炎」など、1つの症状だけで病気を断定することはできません。痛みが続く、膝が引っかかる、ぐらつく、しびれを伴う場合は整形外科で確認しましょう。

早めに受診した方がよい症状

  • 転倒や衝突の後から、体重をかけられない
  • 膝が急に大きく腫れた
  • 膝が引っかかり、伸ばしたり曲げたりできない
  • 膝が外側へ抜けるようにぐらつく
  • 膝や下腿に明らかな変形がある
  • 膝外側から足にかけてしびれ、足首や足の指を上げにくい
  • 膝が赤く腫れ、熱を持ち、発熱を伴う
  • ふくらはぎの腫れに胸痛や息苦しさを伴う

痛む場所から考えられる原因

主に痛む場所 考えられる主な原因
膝外側の少し上 腸脛靱帯炎
外側の関節のすき間 外側半月板損傷、外側型変形性膝関節症
腓骨頭付近の骨の出っ張り 外側側副靱帯損傷、大腿二頭筋腱障害、近位脛腓関節障害、腓骨神経障害
膝の後外側 膝後外側支持機構損傷、膝窩筋腱障害、ファベラ症候群
外側からすね・足の甲へ広がる 総腓骨神経障害、腰からの神経痛
お皿の外側・前外側 膝蓋大腿痛、膝蓋骨不安定症

痛む場所はあくまで手がかりです。複数の組織が同時に傷んでいたり、膝以外から痛みが広がったりすることもあります。

膝の外側が痛む主な原因

1.腸脛靱帯炎

腸脛靱帯炎は、ランナーやサイクリストなどにみられる代表的な使い過ぎによる障害です。太ももの外側を走る腸脛靱帯と、大腿骨外側の周辺組織へ繰り返し負荷がかかることで痛みが生じます。

  • 走り始めは平気でも、一定の距離から痛くなる
  • 下り坂や長距離走で悪化する
  • 膝外側の少し上を押すと痛い
  • 走るのをやめると軽くなるが、再開すると再発する
  • 大きな腫れは目立たないことが多い

原因を「腸脛靱帯が骨の上をこすれるため」だけで説明することはできません。急な走行距離の増加、坂道、回復不足、股関節や膝周囲の筋力、走り方など、複数の要因が関係します。

治療の考え方

まず、痛みを起こす距離やスピード、坂道などを一時的に減らします。そのうえで、股関節や膝周囲の筋力トレーニング、動作の調整、段階的なランニング再開を行います。

完全な安静を長く続けるのではなく、症状を強くしない範囲で負荷を調整することが大切です。強いマッサージやフォームローラーだけで改善しない場合もあります。

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2.外側半月板損傷

外側半月板は、大腿骨と脛骨の外側にあるクッション状の組織です。足が地面についた状態で膝をひねったときに損傷するほか、年齢に伴う変化によって明確な外傷がなくても傷むことがあります。

  • 外側の関節のすき間が痛む
  • ひねりや深いしゃがみ込みで痛む
  • 膝が腫れる
  • 引っかかる、クリックする
  • 膝が伸びきらない
  • 膝が動かなくなるロッキングがある

半月板損傷があっても、すべて手術が必要になるわけではありません。損傷の形、年齢、軟骨の状態、症状、スポーツ活動などを考慮して治療を選びます。

一方、損傷した半月板がずれて可動域を妨げている場合などは、早期の専門的評価が必要です。手術を行う場合も、可能な限り半月板を温存することが重要です。

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3.外側側副靱帯・膝後外側支持機構の損傷

外側側副靱帯は、膝の外側を支える靱帯です。膝の後外側には、外側側副靱帯、膝窩筋腱、膝窩腓骨靱帯などからなる支持機構があり、膝が外側へ開きすぎたり、回旋しすぎたりするのを防いでいます。

スポーツ中に膝の内側から強く押された場合、膝が反り返った場合、交通事故や転倒などで損傷することがあります。

  • 外傷後から膝外側・後外側が痛む
  • 腫れや皮下出血がある
  • 方向転換で膝が抜ける感じがする
  • 膝が外側へ開くようにぐらつく
  • 下り坂や階段で不安定になる

これらの損傷は、前十字靱帯や後十字靱帯など、ほかの靱帯損傷を伴うことがあります。強い不安定感がある場合は、単なる外側側副靱帯の捻挫と自己判断せず、早めに受診してください。

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4.外側型の変形性膝関節症

変形性膝関節症は内側に起こることが多いですが、外側の関節軟骨や半月板を中心に変化が起こることもあります。外側半月板損傷や半月板切除の既往、外傷、X脚傾向などが関係する場合があります。

  • 歩き始めや立ち上がりで痛む
  • 長く歩くと外側が痛む
  • 階段で痛む
  • 膝が腫れる
  • 曲げ伸ばしがしにくい
  • 徐々にX脚が目立つ

治療には運動療法、体重管理、薬、注射、装具などがあり、痛みや変形が強く日常生活へ大きく影響する場合には手術を検討します。

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5.大腿二頭筋腱障害・膝窩筋腱障害

太ももの裏外側にある大腿二頭筋の腱は、腓骨頭に付着します。ダッシュ、キック、急な減速を繰り返すと、付着部周辺に痛みが出ることがあります。

膝窩筋は膝の後外側にあり、膝の回旋や安定に関与します。下り坂のランニング、急な方向転換、膝をひねる動作などで痛むことがあります。

  • 腓骨頭や膝後外側を押すと限局して痛む
  • 走る、蹴る、方向転換で痛む
  • 抵抗をかけて膝を曲げると痛む
  • 下り坂で悪化する

半月板や靱帯損傷と症状が似るため、痛む場所だけで腱の損傷と断定することはできません。

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6.近位脛腓関節の障害

近位脛腓関節は、膝外側の腓骨頭と脛骨の間にある小さな関節です。転倒やスポーツ外傷で脱臼・亜脱臼することがありますが、比較的まれです。

  • 腓骨頭周辺が強く痛む
  • 深くしゃがむと不安定感やクリックを感じる
  • 左右を比べると骨の出っ張り方が違う
  • 外側から下腿へしびれが広がる

外側半月板損傷と症状が似て見逃されることがあります。外傷後に腓骨頭の変形や神経症状がある場合は、早めの評価が必要です。

7.ファベラ症候群

ファベラは、膝後外側の腓腹筋外側頭付近にみられる小さな種子骨です。ファベラがあっても通常は症状を起こしませんが、周囲で刺激が起こると膝後外側の痛みの原因になることがあります。

  • 膝を完全に伸ばすと後外側が痛む
  • 膝後外側の限られた場所を押すと痛む
  • 長時間の歩行や運動で悪化する

比較的まれな原因であり、半月板損傷、変形性膝関節症、神経障害などを除外してから診断します。

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8.総腓骨神経障害・腰からの関連痛

総腓骨神経は、膝外側の腓骨頭付近を通り、下腿外側や足の甲の感覚、足首や足指を上げる動きに関係します。腓骨頭周辺で圧迫・牽引されたり、膝の強い外傷に伴って傷ついたりすると、痛みやしびれが生じます。

  • 膝外側からすね外側・足の甲へ電気が走るように痛む
  • しびれや感覚低下がある
  • 足首や足の指を上げにくい
  • 歩くとつま先が引っかかる

同じような症状は、腰椎から出る神経の圧迫でも起こります。足首が上がらない「下垂足」がある場合は、早めに受診してください。

9.そのほかの原因

頻度は高くありませんが、次のような病気でも膝外側が痛むことがあります。

  • 骨折や骨挫傷
  • 関節内遊離体
  • 痛風・偽痛風
  • 関節感染症
  • 骨や軟部組織の腫瘍
  • 股関節や腰からの関連痛

動作や症状は診断の手がかりになりますか?

動作による痛み方は参考になりますが、それだけで病気を確定することはできません。

痛みが出る状況 考える手がかり
走ると一定の距離から外側が痛む 腸脛靱帯炎
ひねった後、関節のすき間が痛み引っかかる 外側半月板損傷
衝突後にぐらつく 外側側副靱帯・膝後外側支持機構損傷
深くしゃがむと腓骨頭が動く・痛む 近位脛腓関節障害
膝を伸ばしきると後外側が痛む ファベラ症候群、膝後外側組織の障害
しびれがすねや足へ広がる 総腓骨神経障害、腰からの神経痛

注意:腫れがない場合でも、半月板や靱帯、腱の損傷を完全には否定できません。また、「曲げると痛い」「伸ばすと痛い」という情報だけで、傷んでいる組織を特定することもできません。

自宅でできる対処

けがの直後や急に痛みが強くなった場合は、悪化させる動作を減らします。

  • 走る、跳ぶ、急な方向転換を一時的に控える
  • 深いしゃがみ込みや膝をひねる動作を避ける
  • びっこを引く場合は歩行量を減らす
  • 腫れや運動後の熱感がある場合は10~15分程度冷やす
  • 脚を少し高くして休む

ランニングによる痛みでは、完全に運動を中止するかどうかを一律に決めるのではなく、痛みが出る距離や速さを下げ、翌日まで悪化しない範囲に調整します。

強い痛みがある時期に、外側を強く押すマッサージや無理なストレッチを行うと、症状が悪化することがあります。

整形外科ではどのような検査をしますか?

診察では、痛みが始まったきっかけ、痛む場所、腫れ、関節の動き、圧痛、靱帯の安定性、しびれや足首の筋力などを確認します。

X線検査

転倒やひねり外傷の後に、骨の圧痛、関節の腫れ、体重をかけられない状態がある場合は、まずX線検査を行います。慢性的な膝痛でも、関節症や骨の変化を確認するため、X線が初期検査となることが一般的です。

MRI検査

X線で骨折が見つからなくても、半月板、靱帯、軟骨、骨挫傷などの損傷が疑われる場合はMRIを検討します。ロッキング、大きな関節水腫、強い不安定感がある場合にも役立ちます。

超音波検査

腸脛靱帯周囲、外側側副靱帯、腱、滑液包、総腓骨神経など、表面に近い組織の評価に用いることがあります。

膝の診察と検査について詳しく見る

膝外側の痛みはどのように治療しますか?

治療は原因によって異なります。

  • 腸脛靱帯炎:負荷調整、股関節・膝周囲の運動療法、段階的な競技復帰
  • 外側半月板損傷:活動調整、運動療法、薬、損傷形態に応じた手術
  • 外側側副靱帯・膝後外側支持機構損傷:装具、リハビリテーション、重症度や併存損傷に応じた手術
  • 変形性膝関節症:運動療法、体重管理、薬、注射、装具、必要に応じて手術
  • 腱障害:負荷調整と段階的な筋力トレーニング
  • 神経障害:圧迫原因の除去、神経・腰の評価、筋力低下がある場合は早期治療

同じ膝外側の痛みでも、安静が中心になる病気と、適切な運動療法が重要な病気があります。自己判断で長期間休み続けたり、反対に痛みを我慢して運動を続けたりしないことが大切です。

よくある質問

膝の外側が痛いと腸脛靱帯炎ですか?

ランニング中に徐々に痛くなる場合は腸脛靱帯炎が考えられますが、半月板損傷、靱帯損傷、関節症、腱障害、神経障害などでも外側が痛みます。痛む場所と発症のきっかけを合わせて判断します。

痛くても走り続けてよいですか?

走ることで痛みが強くなり、フォームが崩れる、走った後や翌日まで痛みが増える場合は負荷を下げてください。短い距離や低い強度で悪化しない場合は、状態に応じて継続できることもあります。

腫れていなければ半月板や靱帯の損傷ではありませんか?

腫れが目立たなくても、半月板、靱帯、腱などの損傷は否定できません。引っかかり、ぐらつき、圧痛、痛みが続く場合は診察を受けてください。

MRIは必ず必要ですか?

すべての膝外側痛にMRIが必要なわけではありません。診察とX線で原因を判断できる場合もあります。ロッキング、強い不安定感、持続する腫れ、半月板・靱帯・骨内部の病変が疑われる場合に検討します。

どのくらいで治りますか?

軽い使い過ぎによる痛みは、負荷を調整することで数週間で改善することがあります。半月板や靱帯の損傷、関節症、神経障害などは数か月以上かかる場合があります。回復期間は原因と重症度によって大きく異なります。

しびれを伴う場合はどうすればよいですか?

膝外側から足にしびれが広がる場合は、総腓骨神経や腰の神経が関係している可能性があります。足首や足指を上げにくい、歩くとつま先が引っかかる場合は、早めに整形外科を受診してください。

まとめ

膝の外側が痛む原因には、腸脛靱帯炎、外側半月板損傷、外側側副靱帯・膝後外側支持機構損傷、外側型変形性膝関節症などがあります。

ランニングで徐々に痛むのか、外傷直後から痛むのか、関節のすき間・腓骨頭・後外側のどこが痛むのかによって、考える原因が変わります。

体重をかけられない、膝が動かない、強くぐらつく、足にしびれや筋力低下がある場合は、早めに整形外科を受診してください。

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※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個々の診断や治療を代替するものではありません。