膝の内側が痛いのはなぜ?主な原因と受診の目安を整形外科医が解説
膝の内側が痛む原因には、変形性膝関節症、半月板損傷、内側側副靱帯損傷、鵞足炎などがあります。
痛む場所が同じでも、年齢、痛みが始まったきっかけ、腫れの有無、引っかかりやぐらつきの有無によって、考えられる原因は異なります。
特に、中高年の方が、立ち上がりや階段、しゃがみ込みなどの軽い動作をきっかけに突然強い痛みを感じた場合は、内側半月板後根断裂や膝軟骨下不全骨折が隠れていることがあります。
痛みの場所だけで自己判断せず、症状が続く場合は整形外科で診察を受けることが大切です。
早めに受診した方がよい症状
- 膝が赤く腫れ、熱を持っている
- 発熱や寒気、全身のだるさを伴う
- けがの後から体重をかけられない
- 膝が大きく腫れている
- 膝が引っかかって伸びない
- 明らかな変形がある
- ふくらはぎまで腫れている
- 胸の痛みや息苦しさを伴う
膝の内側が痛む主な原因
1.変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨や半月板などに変化が起こり、痛みや動かしにくさを生じる病気です。日本人では、膝の内側に変化が起こるタイプが多くみられます。
- 動き始めに痛む
- 長く歩くと痛む
- 階段や立ち上がりで痛む
- 膝が腫れる
- 膝が伸びにくい、曲がりにくい
- 徐々にO脚になる
痛みの強さとX線上の変化は、必ずしも一致しません。画像で変形があっても痛みが軽い人もいれば、画像変化が軽くても強い痛みが出る人もいます。
2.内側半月板損傷
半月板は、太ももの骨とすねの骨の間にあるクッションのような組織です。スポーツ中に膝をひねって損傷することもあれば、年齢に伴う変化によって、明確なけががなくても傷むことがあります。
- 関節のすき間に沿った痛み
- しゃがみ込みやひねり動作で痛む
- 膝が腫れる
- 引っかかる感じがある
- 膝が伸びにくい
- 膝の中で何かが動く感じがする
半月板損傷があっても、すべて手術が必要になるわけではありません。年齢、損傷の形、軟骨の状態、症状の強さなどを考慮して治療を選択します。
3.内側半月板後根断裂
内側半月板後根断裂は、半月板の後方にある付着部が切れる損傷です。中高年の女性に多く、転倒や激しいスポーツではなく、階段、立ち上がり、しゃがみ込み、小走りなどの日常動作で発症することがあります。
発症時に「ブチッ」「ポキッ」と音や感覚があり、その後、膝の内側から後ろにかけて強く痛むことがあります。
放置すると半月板が外側へ押し出され、関節軟骨への負担が増える可能性があるため、早期の診断が重要です。
4.内側側副靱帯損傷
内側側副靱帯は、膝の内側にある靱帯で、膝が内側へ入りすぎないように支えています。スポーツ中に膝の外側から力を受けたり、足を固定したまま膝をひねったりすると損傷することがあります。
- けがの直後から内側が痛む
- 内側を押すと痛い
- 腫れや皮下出血がある
- 膝がぐらつく
- 横方向の動きで痛む
単独の内側側副靱帯損傷は、装具やリハビリテーションによる保存療法で改善することが多いですが、前十字靱帯などほかの損傷を伴う場合があります。
5.鵞足炎
鵞足とは、膝の内側より少し下にある、3本の腱が集まる場所です。その周囲に負担がかかると、腱の付着部や滑液包に痛みが生じます。
痛む場所は、膝関節のすき間より約5cm下が目安です。ランニングや歩行量が急に増えた場合、階段を繰り返し使用した場合、太ももの裏側が硬い場合、変形性膝関節症がある場合などに起こりやすくなります。
6.膝軟骨下不全骨折
膝軟骨下不全骨折は、関節軟骨のすぐ下にある骨に起こる小さな骨折です。以前は「特発性膝骨壊死」と呼ばれることがありましたが、現在は骨への繰り返しの負担による不全骨折が病態の中心と考えられています。
- 急に体重をかけると痛くなった
- 歩くと強く痛む
- 夜も痛む
- 数日休んでも改善しない
- X線では異常が目立たない
初期にはX線で分かりにくく、MRIが必要になることがあります。痛みを我慢して歩き続けると悪化する可能性があるため、突然強い荷重時痛が出た場合は早めに受診してください。
7.そのほかの原因
- 滑膜ヒダ障害
- 痛風や偽痛風
- 関節リウマチ
- 骨折
- 関節感染症
- 股関節や腰からの関連痛
痛む場所からある程度見分けられますか?
痛む場所は診断の手がかりになりますが、場所だけで病気を断定することはできません。
| 痛む場所 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 膝関節内側のすき間 | 半月板損傷、変形性膝関節症 |
| 内側の靱帯に沿った場所 | 内側側副靱帯損傷 |
| 関節より約5cm下 | 鵞足炎 |
| 内側から後方 | 内側半月板後根断裂 |
| 内側の骨を押して強く痛む | 軟骨下不全骨折 |
| 赤く熱を持って腫れる | 感染、痛風、偽痛風 |
自宅でできる対処
けがの直後や、急に痛みが強くなった場合は、まず痛みを悪化させる動作を減らします。
- 長時間の歩行を控える
- 走る、跳ぶ、深くしゃがむ動作を避ける
- 膝をひねる動作を避ける
- 腫れている場合は冷やす
- 脚を少し高くして休む
- びっこを引くほど痛む場合は無理に歩かない
冷却する場合は、保冷剤などを布で包み、10~15分程度を目安に行います。皮膚へ直接当て続けないようにしてください。
痛みが強い時期に、無理なストレッチや強いマッサージを行うと悪化することがあります。
整形外科ではどのような検査をしますか?
診察では、痛みが始まった時期、けがの有無、圧痛の場所、腫れ、可動域、ぐらつき、引っかかり、歩き方などを確認します。
慢性的な膝の痛みでは、まずX線検査を行うことが一般的です。X線で明らかな異常がない場合でも、痛みが続く、膝が腫れている、半月板や靱帯、軟骨下不全骨折が疑われる場合には、MRI検査を行うことがあります。
表面に近い靱帯、腱、滑液包などは、超音波検査が役立つ場合もあります。
膝内側の痛みはどのように治療しますか?
治療方法は原因によって異なります。同じ「膝の内側の痛み」でも、すべて同じ治療を行うわけではありません。
- 変形性膝関節症:運動療法、体重管理、薬、注射、装具、必要に応じて手術
- 半月板損傷:活動量の調整、運動療法、薬、損傷の種類に応じて手術
- 内側側副靱帯損傷:装具、段階的なリハビリテーション
- 鵞足炎:運動量の調整、ストレッチ、筋力トレーニング、薬
- 内側半月板後根断裂・軟骨下不全骨折:荷重調整、装具、運動療法、関節の状態に応じて手術
よくある質問
膝の内側が痛くても歩いてよいですか?
軽い痛みで、歩き方が変わらず、歩いた後に痛みや腫れが増えない場合は、距離を短くして様子を見ることができます。びっこを引く、体重をかけると強く痛む、歩いた後に腫れる場合は、歩行量を減らして受診してください。
膝の内側が痛いと半月板損傷ですか?
半月板損傷は原因の一つですが、変形性膝関節症、内側側副靱帯損傷、鵞足炎、軟骨下不全骨折などでも同じ場所が痛みます。症状だけで断定することはできません。
MRIは必ず必要ですか?
すべての膝痛にMRIが必要なわけではありません。診察とX線で原因が分かる場合も多くあります。MRIは、半月板、靱帯、軟骨、骨内部の病変などが疑われる場合に検討します。
どのくらいで治りますか?
軽い使い過ぎであれば、活動量を調整することで数日から数週間で改善することがあります。半月板損傷、靱帯損傷、変形性膝関節症、軟骨下不全骨折などでは、数週間から数か月かかることがあります。回復期間は原因と重症度によって大きく異なります。
まとめ
膝の内側が痛む原因は一つではありません。変形性膝関節症、半月板損傷、内側側副靱帯損傷、鵞足炎などが代表的ですが、中高年以降に突然強い痛みが出た場合は、内側半月板後根断裂や膝軟骨下不全骨折にも注意が必要です。
痛みが続く、腫れる、体重をかけられない、膝が伸びない場合は、自己判断を続けず整形外科を受診してください。
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個々の診断や治療を代替するものではありません。

