膝の内側の痛みは、いくつかの問題が原因で起こります。
膝の内側には多くの構造物があり、これらのうちの1つまたは複数の問題が痛みを引き起こします。
膝の内側の痛みの症状は、時間の経過とともに徐々に出てくることもあれば、膝の怪我後など、突然発症することもあります。
筋力の低下または筋肉が硬くなることによって、膝の動きが微妙に変化するため、経年的に大きな変化につながる可能性があります。
膝内側の痛みの原因は?
内側側副靭帯損傷
病態: 内側側副靭帯の一部または全部の損傷
症状: 膝の急性外傷で、膝の外側から内側に通る力によって発症した膝内側の痛みです。膝の屈曲制限、膝内側の腫脹、膝内側の内出血、膝の不安定性を伴う膝内側の痛み
特徴:靭帯損傷の程度に応じて、MCL断裂には3つのグレードがあります。
治療: PRICE、サポーター、リハビリ、 必要に応じて手術
内側半月板損傷
病態: 膝関節の内側にある半月板の断裂です。
症状:スポーツ中に膝を捻って膝内側の痛みが突然発症したり、変性(年齢に伴う摩耗)により徐々に発症したりします。
急性(スポーツ):膝内側の急激な痛み、不安定性、足をまっすぐにすることが困難となります。
慢性(年齢):胡坐をかくような膝の捻り方をすると痛みが顕著になり、膝の腫れを伴うことが多いです。
症状を悪化させる活動:歩く、走る、しゃがむ、階段(特に上り)
*変形性膝関節症では階段の下りで特に痛みます
治療: PRICE、 リハビリ、手術
鵞足(がそく)付着部炎
病態:鵞足付着部(滑液包)の炎症です。
症状:膝関節内側の約5センチ下に痛みが発症します。押さえると非常に痛く、若干の腫れを伴います。夜中に強い痛みを感じることもあり、睡眠障害につながる可能性もあります。
階段の下りで傷むのが特徴的です。太り気味の中年女性やランナー、水泳選手に多く認めます。
治療:安静、氷で冷やす、ストレッチ、リハビリ、ステロイド注射
変形性膝関節症
病態:内側の関節の軟骨が擦り切れて摩耗した状態です。
症状:一般的には、朝一番の膝の動かしにくさ、膝内側の痛み、腫れ、膝を動かしたときに生じる引っかかり感などが徐々に現れます。50歳以上の方に多くみられます。
長時間の休息後の急な動作やいつもより多く活動した後に悪化します。また、寒さが続くと悪化します
特徴:変形性膝関節症は、関節の状態がどの程度悪いかによって、軽度、中等度、重度の3段階に分類されます。
治療:重症度に依存しますが、関節炎の治療には、運動(筋力強化)、痛み止めの薬、温熱療法/冷却療法、鍼治療、注射、膝サポーターが含まれています。これらの治療でも効果がない人は手術をすることもあります。
内側滑膜ヒダ障害
病態:膝関節内の内側にある滑膜ヒダの炎症
症状:膝の前側と内側の痛みが主で、圧痛があります。膝を動かすとパキっという音とともに痛みを生じる。
頻繁な膝の曲げ伸ばしを行ったり、階段の昇降、座ったり横になった状態から起き上がる動作で痛みを生じます。
治療:筋力強化、ストレッチ、抗炎症剤、ステロイド注射、安静、難治性の場合は手術
膝内側の痛みの原因は?
膝内側の痛みに伴う一般的な症状を見てみましょう。
膝内側の痛み(腫れなし):膝内側の痛みで腫れがない場合は、半月板の小さな断裂や内側側副靭帯グレード1の捻挫などの軽傷である可能性が高いです。
ランニング中の膝内側の痛み:走っている最中や走り終わった後の膝内側の痛みは半月板損傷やランナー膝で生じます。
足をまっすぐに伸ばした時の膝内側の痛み:膝下内側にある滑液包は鵞足付着部に存在します。これは膝を伸ばした時に簡単に押しつぶされるため、鵞足付着部炎では膝を伸ばした時に痛みが顕著になります。
膝を曲げた時の膝内側の痛み:ほとんどの膝内側の痛みは、体重を支えながら膝を曲げることで悪化します。
膝を伸ばして立っているだけで痛みが出る場合は内側側副靭帯や半月板損傷を考えます。椅子に座った状態(膝に体重がかかっていない)で膝を曲げ伸ばしすると痛い場合は鵞足付着部炎や滑膜ヒダ障害を考えます。
膝の前方内側の痛み:膝内側よりやや前方に痛みが強い場合は、膝蓋骨(お皿)の障害やランナー膝を疑います。
足を組んで座っているときの膝内側の痛み:足を組んで座ると膝の内側の半月板にストレスがかかります。そのため、このような姿勢で特に痛む場合は内側半月板損傷を考えます。
座ったり横になった状態から起き上がろうとしたときの膝内側の痛み:しばらく座ったり横になったりした後に、最初の一歩を踏み出そうとするときの痛みは変形性膝関節症を考えます。一方、この状態で、体重をかける前に痛みが出てしまう人は滑膜ヒダ障害を考えます。
膝内側の痛みはなぜ起こりやすいのか?
膝の内側に痛みが出ることは頻繁におこります。これは筋力の低下や筋肉が硬くなったことが原因で、膝の動き方が微妙に変化してしまうからです。
この微妙な変化がおこると、関節全体で体重を受け止めることが出来なくなり、膝の内側で多くの体重を受け止めてしまう結果となります。このため、膝の内側の痛みが発生します。変形性膝関節症が外側よりも内側に多いことからしても納得できます。
膝内側の痛みはどのように治療しますか?
膝内側の痛みの治療は、何が原因で問題を引き起こしているかによって変わってきますが、一般的に共通して言えることは、腫れを抑え、膝関節にかかる力を軽減させるために膝周りの筋肉を鍛えたり、サポーターをして強度と安定性を改善します。
それでも効果がない場合は、手術が必要になることもあります。