治療

人工膝関節置換術とは?

膝関節置換術とは、金属やプラスチックで作られた新しい関節を使用して傷んだ膝関節の一部または、そのすべてを置き換えることを言います。

膝関節置換術の目的は、関節炎による痛みを軽減し、機能を向上させることです。

膝関節置換術は、体の中で最も多く行われている関節置換術です。このことは、膝の痛みで苦しむ人の多さを物語っています。

日本における人工膝関節置換術は年々増えており、2018年には11000件以上の手術が行われており、手術を受ける年齢は70歳前後が最も多い結果となっています。

この結果は、手術を行った医師または病院が人工関節学会に手術したことを報告した人数なので、これ以上の手術が行われていると推測されます。 ちなみに、人工関節学会に手術したことを報告した人数を地方別に見てみると以下のようになります。

TKA/UKA/PFA レジストリー統計 日本人工関節学会 2018.3.31

2018年度の都道府県別人工膝関節登録患者数は以下のようになっています。

1位;東京(11246人)

2位;北海道(7414人)

3位;大阪府(8793人)

45位;秋田(371人)

46位;岩手(335人)

47位;福島(165人)

今回は人工膝関節置換術の時に使用する人工関節の種類を大まかに説明し、手術(人工関節)を受けるタイミングを説明します。

人工膝関節の種類

膝関節置換術は1940年代に初めて行われ、その後大きく発展してきました。

知っている人もいるかと思いますが、膝関節置換術には大きく2種類に分かれます。ここでは、私が良く使用している人工関節の種類の図を使用して話を進めていこうと思います。

単顆型人工関節置換術(UKA)

膝の部分的な置換術で、関節の一部のみを除去し、金属やプラスチック製の人工関節と交換します。

膝関節の部分的な置換は、関節炎の影響を最も受けるとされる膝の内側に対して行われることが多く、外側だけ交換することはそれほど多くはないです。

       Oxford Partial knee @Zimmer Biometより

この種類の人工関節の最も大きな利点は膝の中の靭帯(前十字靭帯と後十字靭帯)をそのまま残すことが出来るということです。

      Oxford Partial knee @Zimmer Biometより

膝が痛くなって我慢に我慢を重ねて病院に行ったときには、部分置換が出来ない状態になっている可能性があるので、膝の痛みが出現すればできるだけ早く整形外科を受診することをお勧めします。

整形外科医師向けに単顆型人工関節置換術(UKA)の適応についてまとめてみました。

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膝関節全置換術(TKA)

全置換術では、太ももの骨(大腿骨)の下部とすねの骨(脛骨)の上部の骨と軟骨をすべて取り除きます。

一般的に言われている人工膝関節はこの膝関節全置換術を指します

関節の中が広い範囲で傷んで、膝の安定性が保てないときはこの種類の人工関節が適応となります。詳細なデータは省略しますが、全国的に多く手術されている人工関節の種類です。

       ATTUNE Knee system @ Depuy Synthesより

人工膝関節置換術を受ける理由

膝関節置換術は、一般的に進行した変形性膝関節症の治療のために実施されます。これは、関節を覆っている軟骨が損傷して摩耗し、痛みや機能の制限を引き起こす場合に適応となります。

膝関節は、太ももの骨とすねの骨の断端が接触する場所です。それぞれの骨は軟骨で覆われており、お互いにスムーズに滑るようになっています。

        Oxford Partial knee @Zimmer Biometより

変形性関節症では、軟骨が薄くなり骨棘と呼ばれる新しい骨が関節のいたるところにできます。関節炎が進行すると、軟骨は完全に磨耗し、太ももの骨とすねの骨が直接ぶつかり合います。

        Oxford Partial knee @Zimmer Biometより

関節炎の痛みのために、日常生活で使う、“歩く”ことや“階段を降りる”といった動作が痛みのために困難となります。また、これを放置すれば、経年的に膝が変形してしまうこともあります。

このような場合、最善の処置は膝関節置換術です。

人工膝関節置換術はいつ受ければいい?

変形性膝関節症の手術がどの段階で必要かということは、患者さんそれぞれの考え方今後の予定に左右されることが大きいです。

そのため、医師側の適応基準は存在するものの、患者さんにとっての適応基準とはなりえないのです。

ただし、変形性膝関節症と診断されて、下のような症状が出現し始めたら手術を考えてもいい時期だと思います。

  • 痛みが歩行や階段などの日常生活に影響を与えている。
  • 痛みが睡眠に影響を与えている。
  • 少なくとも3か月間、膝強化エクササイズを試しても効果なし。
  • 激しい痛みに絶えず悩まされている。

あなたの症状がこれらに当てはまらない場合は、膝関節置換術はおそらく必要ありません。他の治療法の方が適切です。

膝が痛くなりすぎて歩けなくなることが心配だという声をよく聞きますが、健康な人(内科的な大きな病気がない人)が膝の痛みだけで歩けなくなることはありません。

ただし、人工関節を受けると決意したときは、手術を先延ばしすることは、お勧めできません

膝の痛みを抱えて動かなくなると、膝の筋肉は日に日に落ちていきます。手術前の膝の筋力は手術後の回復期間やリハビリに最も影響を与える因子であることが分かっています。