治療

グルコサミン、コンドロイチン、MSM

患者さん

グルコサミンコンドロイチンってよくテレビで見るんですけど、どんな商品を買えばいいですか?

主治医

そんなに焦らずに。

テレビで言っている商品はいいものもあれば効果のはっきりしていないものもあるんです。

そもそも、グルコサミンコンドロイチンって何なのか知っていますか?

患者さん

知らないけど、膝の痛みが良くなるんですよね?

主治医

うーん… そうねぇ…

ちょっと時間ありますか?これから説明しますね。

看護師

先生! 次の患者さんが早くしろって怒ってますよ!

主治医

とほほ。。。

ごめんなさい。

お金に余裕があれば買って損するものではないということだけ言っておきます。

患者さん

…ダメだ、こりゃ

外来中に、どんなサプリが膝にいいのですかということを聞かれることがあります。

ただ、患者さんの中にはサプリメントに対して過度に期待しているところがあったり、反対に不信感を持っている人もいます。

科学的な知見からグルコサミンコンドロイチンMSMについて話していきます。

上の3つはいろいろなサイトですぐに見つけることができますが、書かれていることが様々です。

本記事ではNIH(アメリカ国立衛生研究所)の文献を元に書いています。

アメリカの報告を優先している理由は、国家として研究開発に提供している費用が日本とは比べ物にならないからです。

これはグルコサミンだけでなく医療全般に言えることです。

日本人研究者の質は非常に高いのですが、よりよい研究を行うためには、たくさんお金があったほうが有利なのは間違いありません。

国家予算をもう少し研究に回すことが出来れば、日本で売られている健康食品の有用性が実証できるのではないかと思います。

グルコサミン

グルコサミンには、硫酸グルコサミン、塩酸グルコサミン、N-アセチルグルコサミンなどの異なる形態があります。

これらの異なる化学物質は、いくつかの類似点を持っていますが、栄養補助食品として摂取した場合、同じ効果が得られない可能性があります。

なぜかというと、

グルコサミンに関する科学研究のほとんどは、硫酸グルコサミンについてだからです。

多くの研究では、硫酸グルコサミンを摂取することで、特に変形性膝関節症の人痛みの緩和を提供することができることが示されています。

しかし、病院でもらう痛み止めの薬に即効性があるのに対して、グルコサミン硫酸塩に即効性はありません。

また、硫酸グルコサミンを飲んでいる人でも、痛みが強い時は痛み止めを飲む必要があります。

https://medlineplus.gov/druginfo/natural/807.html

グルコサミン

・硫酸グルコサミン
・塩酸グルコサミン
・N-アセチルグルコサミン


硫酸グルコサミン

・痛みの緩和に有効
・即効性はない

コンドロイチン

正式名称はコンドロイチン硫酸といいます。

コンドロイチン硫酸は、通常、体内の関節周りの軟骨に含まれている化学物質です。

コンドロイチン硫酸は通常、サメや牛の軟骨などの動物由来で製造されています。

また、研究室で製造することもできます。

臨床研究では、コンドロイチン硫酸塩を口から摂取することで、最大6ヶ月間使用した場合、変形性関節症の一部の人々の痛みと機能を適度に改善することが示されています。

しかし、痛みの緩和は、小さいようです。

他の研究では、コンドロイチン硫酸を最大2年間服用することで変形性関節症の進行を遅らせることができるかもしれないことが報告されています。


コンドロイチン硫酸とグルコサミン硫酸、サメの軟骨との組み合わせでコンドロイチン硫酸を含む皮膚クリームが変形性関節炎の症状を減らすことができるという報告がありますが、皮膚からコンドロイチンが吸収されるという研究結果はありません

https://medlineplus.gov/druginfo/natural/744.html

コンドロイチン

・正式名称はコンドロイチン硫酸
・サメや牛の軟骨などの動物由来で製造される

コンドロイチン硫酸

・痛みを和らげる効果は少ない
・皮膚から吸収されて、軟骨に効くという研究結果はない

MSM

正式名称はメチルサルフォニルメタン(Methyl-Sulfonyl-Methane)です。

この頭文字をとったもので、緑の植物や動物、人間に含まれる化学物質(硫黄)です。

実験室で作ることもできます。

MSMが人気になったのは、「The Miracle of MSM」という本がきっかけです。

MSMは軟骨の痛む人だけでなく様々な病気に対して内服されています。

MSMを推進するいくつかの文献はあるのですが、MSMやMSMに含まれる硫黄の推奨食事摂取量(RDA)はありません。

なぜなら、硫黄欠乏症は医学文献には記載されていないからです。

そのため、その効能ははっきりしておらず、MSMは体内で他の化学物質を作るために硫黄を供給しているのだと理解されています。

https://medlineplus.gov/druginfo/natural/522.html

MSM

・正式名称はメチルサルフォニルメタン
・緑の植物や動物、人間に含まれる硫黄

Methyl-Sulfonyl-Methane

・実際、多くの病気に対して内服されている
・痛みを和らげるかどうかは不明
・推奨食事摂取量はない

グルコサミンとコンドロイチンを同時に飲むと効果が高まる?

現時点でグルコサミンコンドロイチンの同時服用で効果が高まるかどうかについてははっきりとした答えが出ていません。


これまでの報告では以下のように書かれてあります。

グルコサミンまたはコンドロイチン硫酸塩を用いた経口サプリメントは、変形性膝関節症における疼痛を軽減する。

しかし、症状のある変形性膝関節症の管理のために両者を併用しても、追加的な効果は認められなかった

Association of Pharmacological Treatments With Long-term Pain Control in Patients With Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-analysis.Gregori D, Giacovelli G, Minto C, Barbetta B, Gualtieri F, Azzolina D, Vaghi P, Rovati LC.JAMA. 2018 Dec 25;320(24):2564-2579. doi: 10.1001/jama.2018.19319.

グルコサミン+コンドロイチン

混ぜれば効果倍増というわけにはいかない

サプリを飲んで軟骨は再生するの?

残念ながら、答えは”No“です。


現在、販売されている健康食品で軟骨が再生するといった研究報告はありません。

したがって、軟骨再生には期待は持てません。

副作用はある?

病院で処方される痛み止めには必ず副作用があります。

病院で処方されるロキソニン、ロキソプロフェンは継続して長期(3か月以上)内服すると腎障害が起こります。

解熱剤にも使用されるカロナールは肝臓に負担をかけます。


しかし、健康食品であるグルコサミン、コンドロイチンを内服することで内臓を障害するといった報告はないようです。

ただし、MSMについては、100%安全かどうかはわかっていません。副作用として報告している症例報告が存在するからです。

副作用

・グルコサミン、コンドロイチンはない
・MSMはわからない(副作用の症例報告は存在する)

まとめ

どうでしたか。

結構なボリュームをギュッと凝縮してみました。

下に書かれてあることを覚えておくだけでも、メリットはあると思います。

・グルコサミン硫酸塩は痛みを軽減する効果がある
・コンドロイチン硫酸だけでは痛みを抑えるには不十分
・両者を併用しても効果は増強しない
・サプリメントに軟骨再生の効果はない
・グルコサミン、コンドロイチンに副作用はない

お勧めサプリ?

本当は上で言ったことを参考に薬局周りをすることが一番いいです。

何故かというと、自分の知識をもとに選び抜いた商品にはそれなりの愛着がわくからです。

どうしても時間がない、めんどくさい人のために2種類のサプリを紹介します。

何が違うかというと両方とも水を貯えるヒアルロン酸とプロテオグリカンに着目した新しいサプリなんです。

強い痛みがある人ではなく、違和感がある人におすすめです。

痛みがある人は病院に行ってくださいね。