サッカーでは、トップパフォーマンスを提供することは、スタミナ、スピード、動き、強さとのすべてが必要です。
技術力と戦術的センス。 これらのスキルは、ターゲットを絞ったトレーニングで磨くことができます。
サッカーには健康に良い効果がたくさんありますが、怪我のリスクは常にあります。
国際的な専門家グループが7歳から13歳を対象に開発した新しい傷害予防プログラム「FIFA 11+ for Kids」は、傷害を引き起こす危険因子を最小限に抑えることを目的とした新しいタイプのウォーミングアッププログラムです。
日本では中々浸透しない(特にスポーツ少年団などでは)このプログラムですが、実は怪我の予防だけではなく、パフォーマンス能力を上げることが実証されています。
効果が出始めるのは10~12週後とのことです。
原本は英語なので、日本語訳にして読みやすくしました。
原本と、FIFA11+ for kidsについて書かれた論文を参考に説明していきたいと思います。
参考文献
FIFA 11+ FOR KIDS MANUAL A WARM-UP PROGRAMME
FOR PREVENTING INJURIES IN CHILDREN’S FOOTBALL
The “FIFA 11+” injury prevention program improves body stability
in child (10 year old) soccer players. Hannes Gatterer et al. Biology of Sport, Vol. 35 No2, 2018
このプログラムは7つのエクササイズで構成されており、各トレーニングセッションの最初に指定された順番で行う必要があります。
各エクササイズにはレベルがあり、徐々に難しくなっていきます(レベル1~5)。
レベル1から始めましょう。
私自身も子供と一緒にやってみましたが、レベルが上がるにつれ難しくなり、年齢とともに訪れるバランス能力の衰えを実感しました。。。
足先は進行方向を向ける:膝は少し曲げて膝のクッションが使えるようにします。
身体の緊張(体幹を意識):お腹と背中の筋肉を緊張させ、背筋をまっすぐにし、頭をまっすぐに保ち背骨を伸ばします。
最初は、繰り返し回数と距離を減らし、徐々に強度を上げ、エクササイズが正しく行われた場合にのみ、次の段階に行くことが推奨されています。
このトレーニングに対するYoutube(英語)を紹介します。日本語があればいいのですが、私が探す限りHitしませんでした。言っていることが分からなくても大丈夫です。やっていることを見て、それぞれの項目を見直してください。
EXERCISE 1: バランス能力を上げる
指示を受けた後にバランスを取り、片足で3秒間立つ。
バランス能力と協調性を上げる。
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コーチの指示に従い、選手はコーチに向かってまっすぐに走る。
コーチが “右 “または “左 “の指示を出した場合、プレーヤーは右足または左足で立ち、約3秒間バランスを保つ。
バランスが取れるまでジャンプしてもよい。
支える足の膝は完全に伸ばさず、腕を使ってバランスを取る。
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レベル1と同様ですが、選手にコーチの指示を意識させます。
コーチが停止すべき足を指示する。
違うのは、選手が常にコーチを見ていること。
指示された足で3秒間バランスを保つこと(ジャンプして整えない)。
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手にボールを持ってコーチの停止指示を聞きます。
停止してバランスをとる足は左右どちらでもOKです。
3秒間バランスを保ちます。
このレベルではコーチの方を見る必要はありません。
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手にボールを持って選手にコーチの指示を意識させます。
コーチは声ではなく、手の合図を使用します。
手を挙げたほうの足を着地してバランスを保つようにします。
3秒間バランスを保ちます。
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ボールを使ってドリブルを行います。
コーチの停止指示を聞きます。
停止指示で足裏でボールを止めます。
挙げている足はボールに触れずに片足で立つます。
3秒間バランスを保ちます。
Exercise 2:関節の安定性を上げる
着地後にバランスを取り、片足で3秒間立つ。
足と膝の関節の安定性を上げる。
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左足からジャンプする場合は、右前方にジャンプします。
着地時にバランスを見極めて片足で3秒間バランスを保ちます。
バランスをとっている間は、支える足の膝は少し曲げる。
腕を横に広げてバランスをとらせてください。
次にコーチが次のジャンプの指示を出します。
選手は、ジグザグに前方に移動しますが、ジャンプのたびに横方向にはっきりとした動きをさせましょう。
各足につき5回ジャンプします。計10回です。
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両手にボールを持ってレベル1のように行います。
腕を使ってバランスをとることが出来ない状態を作り出します。
各足につき5回ジャンプします。計10回です。
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片手にボールを持ってバランスをとります。
各足につき5回ジャンプします。計10回です。
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レベル2と同様に両手でボールをもって斜め前方にジャンプします。
着地時にはボールを頭上に持ったまま片足で立ったまま体を伸ばします。
ボールを頭上に持ったまま前かがみになり、ボールを軽く地面につけた後、再び直立した状態に戻ります。
ポイントはゆっくりと動作を行いバランスを保つことです。
各足につき5回ジャンプします。計10回です。
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レベル4のように、斜め前方にジャンプ着地した後は体をまっすぐに起こします。
地面についていない足をそのまま後ろに伸ばし、両腕を前方にしてバランスを保ちます。
ボール、頭、胴体、上げた足が一直線(地面に平行)になるようにしてください。
各足につき5回ジャンプします。計10回です。
Exercise 3:予期せぬ動作に対応する
困難な状況でも動かずに片足で立ったままでいられること。
追加動作を指示されたときにバランスを維持すること。
2人のプレイヤーが片足で3~5メートルの位置に立って向かい合います。
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プレーヤーは交代でお互いにボールを投げあいます。
最初は短い距離で行ってください。
どんな投げ方でもいいですが、片手投げ、スローインなどの他の投げ方も取り入れてください。
各足につき5回ずつ行います。
2人のプレイヤーが片足で3~5メートルの位置に立って向かい合います。
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ボールを持っている選手はとりやすいボールを相手に投げます。
ボールを受ける選手は、レベル1と同じようにキャッチします。
足の下にボールを通します。
各足につき5回ずつ行います。
2人のプレイヤーが片足で2~5メートルの位置に立って向かい合います。
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ボールを持っている選手はインサイドで相手にパスします
プレーヤーは、しっかりトラップを行い、その後、ボールをパスします。
パスは可能な限り正確に行うことを意識させてください。
パスのバリエーションは自由に行ってください。
各足につき5回ずつ行います。
2人のプレイヤーが片足で2~5メートルの位置に立って向かい合います。
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ボールを持っている選手は相手の膝あたりにやわらかいボールを投げます。
ボールを受ける選手は足でパスを返します。
パスはボレーで返し、ボールを投げたプレイヤーがそれをキャッチできるように、できるだけ正確にプレーしてください。
ボパートナーの正確なボール投げが必要です。
各足につき5回ずつ行います。
二人のプレイヤーが片足で向かい合って腕の届く範囲に立ちます。
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選手二人とも両手でボールを持ち、お互いの前に立ちます。
胸の高さでお互いのボールを押して、バランスを保ちます。
どちらかのプレイヤーの上げた足が地面に触れた時点でいったん終了です。
再度ゲームを始めます。
ジャンプしてバランスを保ってもOKです。
ボールは常に触れ合っている状態にしてください。
片足1セットずつ行います。 勝負がつかない場合は一人20秒ずつで行います。
Exercise 4:体幹と腕の筋力強化
運動中に体の緊張を維持すること。
体幹と腕の筋肉を強化すること。
1 人の選手はボールを持ちます。他の選手はお互いの近くにトンネルをつくります。腕立て伏せの体勢です。
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ボールを持っている選手はトンネルにボールを転がします。
ボールが転がり抜けた後、トンネル内の最後のプレイヤーがボールを取ります。
ボールを持った選手はトンネルのスタート地点まで走り、ボールを転がします。
2セットずつ行います。(1グループあたり最大8人)
ボールをすねの真ん中に置きうつぶせの状態になります。
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選手は肘を曲げて体を支えます。
体は頭から足まで一直線になるようにする。
ボールがすねの位置から膝の位置にくるまで体を後方に移動します。
移動できれば元の体勢に戻ります。
15秒を3セット行います。
腕立て伏せの体勢で、各選手の前にボールを置きます。
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片手は地面、もう片方の手はボールの上に置きます。
地面につけている手の周りにボールを転がします。
その後、手を入れ替えて練習を繰り返します。
慣れてくればボールを使って8の字描くようにボールを転がします。
15秒を3セット行います。
腕立て伏せの体勢で、各選手の前にボールを置きます。
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手と足の間でボールを転がします。
左手から始めて(左足から右足へ、そして右手へ)、左右を入れ替えながら繰り返します。
左手→左足→右足→右手
15秒を3セット行います。
腕立て伏せの体勢でお尻を浮かせた状態で両手をボールの上に置いて自分の体を支えます。
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足を使ってゆっくりと後方に移動します。
小刻みなステップでスタートポジションに戻ります。
15秒を3セット行います。
ポイントはゆっくりと体をコントロールすることです。
Exercise 5:バランス強化
安全でコントロールされた着地と大きなジャンプ。
脚の筋肉を強化し、バランスと協調性を向上させる。
片足で立ちます。
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片足で前方にジャンプし、同じ足で着地する。
ジャンプはできるだけ長く行います。
着地後は約3秒間静止すること。
片足5回ジャンプを2セット行います。
片足で立ちます。
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コーチが前方にジャンプするか後方にジャンプするかを指示する。
着地後は約3秒間静止すること。
片足5回ジャンプを2セット行います。
片足で立ちます。
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できるだけ遠くに横にジャンプします。
右か左へジャンプしますが、これはコーチが指示を出します。
着地後は約3秒間静止すること。
片足5回ジャンプを2セット行います。
片足で立ちます。
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コーチの指示した方向(前方、後方、左右)にジャンプします。
着地後は約3秒間静止すること。
片足5回ジャンプを2セット行います。
両手でボールを持った状態で片足で立ちます。
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レベル4のボール持ち版です。
コーチの指示した方向(前方、後方、左右)にジャンプします。
着地後は約3秒間静止すること。
片足5回ジャンプを2セット行います。
Exercise 6:体幹とハムストリング強化
運動している間、身体の緊張感を維持する。
体幹とハムストリングスを強化する。
両手両足を腰幅に開き、地面と平行に背中を向け空を見上げるような状態にします。
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ボールは足の真正面におきます。
片足でボールに触れ、前方に向かって静かに転がし、後方に向かって転がす。(左の写真の繰り返しです)
足を入れ替えて交互に行います
片足15秒を3セット行います。
両手両足を腰幅に開き、地面と平行に背中を向け空を見上げるような状態にします。
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体が十分に伸ばされた状態になるまで足を前に出して移動し、再び後ろに戻ります。(左の写真の繰り返しです)
15秒を3セット行います。
両手両足を腰幅に開き、地面と平行に背中を向け空を見上げるような状態にします。
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上を向きながら四つん這い(足を前に出して)で前進します。
3セット行います。(能力によって5~10メートル行ってください)
両手両足を腰幅に開き、地面と平行に背中を向け空を見上げるような状態にします。
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レベル3の体勢でボールを “ドリブル “します。
3セット行います。(能力によって5~10メートル行ってください)
両手両足を腰幅に開き、地面と平行に背中を向け空を見上げるような状態にします。
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両足をボールの上に置きます。
足の下でボールを転がしながら、ゆっくりと前方に移動します。
3セット行います。(能力によって5~10メートル行ってください)
Exercise 7:転び方をマスター
両方向に転がる練習をマスターする。
転び方と転がり方を習得する。
両手を膝の前で地面に置きます。
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その後、あごが胸に触れるように頭を下げ、腕、肩、背中を斜めに倒します。
例:右に転がる場合は、右腕を曲げて体の前に出す。
その後、選手は右腕と右肩の外側で転がり、背中を斜めにして足の上で転がります。
右、左5回ずつ行います。
リラックスして立ちます。
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立った状態からレベル1の動作を行います。
右、左5回ずつ行います。
リラックスして立ちます。
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レベル2の動作を素早く行います。
右、左5回ずつ行います。
リラックスして立ちます。
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ゆっくりとした歩行からレベル3を行います。
柔道の受け身の要領ですね。
右、左5回ずつ行います。
リラックスして立ちます。
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小走りした状態からレベル3を行います。
柔道の受け身の要領ですね。
右、左5回ずつ行います。
以上で終了です。結構大変ですが慣れたら15分程度で終わると書かれています。
私には到底無理そうですが。。。
最後に質問に対する返答が書かれてあったので、こちらも日本語訳しておきます。
子供のためのFIFA 11+とは何ですか?
FIFA 11+ for Kids」は、子供のサッカーで最も一般的な怪我を予防するための完全なウォーミングアッププログラムです(14歳以上の方には「FIFA 11+」があります)。
誰が “FIFA 11+ FOR KIDS “を開発したのですか?
FIFA 11+ for Kids」は、FIFA医療評価・研究センター(F-MARC)、バーゼル(スイス)のスポーツ・運動・健康局(DSBG)、アムステルダム大学(オランダ)、シンシナティ大学(アメリカ)、チャールズ大学・ナ・ブロフチェ病院(チェコ)、シオン応用科学大学(スイス)、ザールラント大学(ドイツ)のスポーツ・予防医学研究所(ドイツ)の国際的な専門家チームによって開発されました。プログラムの開発には、「FIFA 11+」やスポーツ傷害予防を目的とした他の運動プログラムでの豊富な経験が生かされています。
FIFA 11+ FOR KIDS の利点は何ですか?
プログラムの予防効果は、主要な無作為化比較試験によって科学的に実証されています。それは、実行するのに難しい要素はなく、特別な機器(すなわち追加費用なし)や専門的な知識は必要ありません。様々な難易度のウォーミングアッププログラムで、ほとんどのエクササイズが同時に様々な側面をトレーニングするので、効率的です。
エクササイズは新しいものですか?
ほとんどのエクササイズは新しいものではありませんが、これまではトレーニングルーチンの一部ではありませんでした。新しいのは、これらのエクササイズを組み合わせて、トレーニングセッションの前のウォーミングアップに使えるシンプルで実用的なプログラムにしたことです。
どのようにしてエクササイズを選んだのですか?
これらのエクササイズの予防効果は科学的に実証されており、一緒に使用することで、最も一般的なサッカーの怪我の発生を防ぐことができます。
エクササイズの効果は?
このエクササイズは、脚とコアの筋肉を強化し、ダイナミックで反応性のある神経筋のコントロール、敏捷性、コーディネーション、バランス、そしてジャンプテクニックとパワーを向上させます。
なぜ「FIFA 11+ FOR KIDS」にはストレッチがないのですか?
静的ストレッチは筋肉のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことが研究で明らかになっていますが、動的ストレッチの予防効果はまだ証明されていません。
そのため、トレーニング後に行うことはできますが、ウォーミングアップのためのストレッチは推奨されていません。
FIFA 11+ FOR KIDS」は誰のためのものですか?
FIFA 11+ for Kids」は、子供のサッカーのために特別に開発されたプログラムで、7歳から13歳を対象としています。
FIFA 11+ for KIDS」はいつ実施されるのですか?
FIFA 11+ for KIDS」は、すべてのトレーニングセッションの最初にウォーミングアッププログラムとして実施してください。
FIFA 11+ for KIDS」はどのくらいの頻度で行うべきですか?
すべてのトレーニングセッションの最初に(少なくとも週に2回)。
コーチはどのようなエクササイズを行う際、特に注意すべき点は何ですか?
効果的なエクササイズを行うためには、このマニュアルに記載されているように、すべてのエクササイズが正しく正確に行われなければなりません。コーチはエクササイズを監視し、必要に応じて選手を修正してください。
FIFA 11+ for KIDS」はどのくらいかかりますか?
選手がエクササイズを習得した後、15分から20分程度です。
FIFA 11+ FOR KIDS」の効果が出るまでどのくらいかかりますか?
トレーニングの頻度にもよりますが、約10~12週間です。
いつプレーヤーは「FIFA 11+ FOR KIDS」での作業を停止することができますか?
子供たちは、彼らが演習を実行して停止したときにプログラムの効果が摩耗オフとして、彼らはサッカーをプレイする限り、 “FIFA 11 + for Kids “を使用し続ける必要があります。
他にも予防法はありますか?
その他の予防策は当然可能であり、望ましいものです。特にフェアプレーやすね当ての着用などです。
FIFA 11+ for KIDS」は何歳からプレイできますか?
7歳以上です。
プレイヤーは “FIFA 11+ FOR KIDS “の前にウォームアップしなければならないのですか?
いいえ、「FIFA 11+ for Kids」は他のプログラムに代わる完全なウォーミングアッププログラムです。
どのようなタイプの靴は “FIFA 11+ FOR KIDS “のために推奨されていますか?
理想的には、サッカーシューズを履いて芝生の上でエクササイズを行うのが理想的です。
練習が実行される順序を変更することはできますか?
いいえ、順番は変えてはいけません。
いつプレイヤーは「FIFA 11+ FOR KIDS」の次のレベルに移動すべきですか?
プレイヤーはレベル1からスタートし、割り当てられた時間内に、指定された反復回数でエクササイズを行うことができた場合にのみ、次のレベルに移動する必要があります。