変形性膝関節症の管理目標は、痛みを最小限に抑え、機能を最適化することです。患者さんに対する個別化されたアプローチは、膝関節症の患者さんにとって最も有益であり、選択される治療計画はこの原則に基づいているべきです。
この記事の焦点は、利用可能な治療戦略の最新の概要、それを裏付けるエビデンスを提供することです。
私が外来でよく聞かれるこことについて焦点を絞って解説していきます。
今回の参考文献は下の論文です。
Noninterventional Therapies for the Management of Knee Osteoarthritis
J Knee Surg 2019; 32(01): 046-054
保存療法第1回は膝サポーターについてお話します。
装具の役割
サポーターを含め整形外科領域で使用する材料は、”装具”と呼ばれます。
膝の装具は、変形性膝関節症の管理において考えないといけない重要なカテゴリーです。
装具の主な目的は、関節の安定化および関節ストレスの軽減です。
しかしながら、膝装具に関するエビデンスの質にはばらつきがあるのが事実です。
膝のサポーター
膝サポーターの目的は関節のストレスを軽減し、膝のアライメントを安定させることが特徴でです。(負担を軽減して膝がぶれないようにします)
2011年のシステマティックレビューでは、あらゆるタイプの膝装具が痛み
や関節の硬さをやわらげ、歩行が改善するということがわかりました。(中
等度のエビデンス)
しかし、2015年に行われたその後のレビューでは、このような装具の有効性に関連する証拠が不足していることがわかりました。
我々は骨折の手術などではレントゲンで骨を透視しながら手術を勧めます。この透視を可能にするのが、通称”イメージ”といって整形外科であれば誰でも知っているワードです。
このイメージを使用してサポーターを装着した膝を観察すると適切に装着されたサポーターは膝関節の分離を増加させることが示されており、これらの装具が膝の変性領域の負荷を軽減していました。
つまり、サポーターを装着することで歩行する時の膝の衝撃を和らげているということです。さらに、傷んでいる軟骨にも効果的のようです。
驚くべきことに、サポーターは、違いの程度が疑問視されているものの、プロプリオ知覚(固有感覚受容器)を改善することも示されている。
プロプリオ知覚(固有感覚受容器)とは第6感的な感覚のことで、転倒予防などに寄与します。
以前、このことについては説明しているので読んでいない人はこちらをどうぞ。
膝サポーターは疼痛の軽減により、歩行の非対称性の矯正や機能の改善が促進される可能性があるという証拠もあります。
良いことばかりを書きましたが、その他の研究では膝の筋力低下の原因となり、膝の痛みをかえって進行させるという悪い結果も報告されています。
有望なデータは存在しますが、研究における結果のばらつきは、変形性膝関節症の治療に膝装具を使用することを明確に推奨するには、より強固な臨床試験が必要であることが言われています。
総括すると、膝のサポーターは患者さんが持つ膝の痛みや歩きにくさについては絶対的に良い。
ただし、注意すべきは現在の自分の膝の状態を理解することが大事です。他の治療が必要な時期に自己判断でサポーターをつけることは却って膝の寿命を縮める結果となりえます。
・痛みや歩行を改善する
・自己判断での使用はあまりお勧めではない
・主治医と相談が必要