私には小学生4年生の息子がいます。自分がサッカーやラグビーをやっていたこともあり、子供にも何かスポーツをさせたいと思っていました。息子が小学3年生になってから、特に進めたわけではないですが、サッカーをやりたいと言い出しました。内心は嬉しかったものの、継続できるかどうかという不安もありました。何にせよ、始めないとわからないので好きにやらせることにしました。
週に2回程度小学校の運動場でサッカーをやっている姿をみてほほえましい気持ちになった反面、どんな練習をしているのかということにも興味がわきました。
もう一つ、サッカー経験者を父親に持つ子供たちは、父親の経験してきた、いわゆる根性論で厳しい練習を行わせようとします。古い根性論に従い練習をさせることで、ある程度の成果を上げることはできると思います(なぜなら、指導する父親と同じ道を歩むことになるので)。さらに、自分が歩んできた成功体験は厳しい練習の後に訪れるということ知っているから、尚更、その厳しい道を外すことはできないのです。
私がサッカーをしていた小学校時代を思い起こすと、水を飲んだらダメ。監督が言うことには絶対服従。古い根性論がスポーツに溶け込んでいました。この背景には戦後の体育教育が根強く残っていたからと思います。
かつて美徳とされた「根性」は、今やもっとも敬遠されるものとなりました。しかし、本当に根性論は不要なのでしょうか?
ラグビーワールドカップで好成績を残した日本代表のキャプテン(リーチ・マイケル)は”根性練習は日本人しかできない” ”海外には根性練習など存在しない”と言っています。しかし、強さの秘密は日本人にしかできない根性に凝縮されているように思えました。
”根性”は悪しき精神論の象徴として、近年の日本スポーツ界ではネガティブに受け取られている言葉であることは否定できない。指導者によるパワハラを誘発する恐れもある。実際、高校スポーツ界で名将と呼ばれていた監督が、パワハラを理由に退任に追い込まれるケースが増えています。
しかし、国外の視点を持つリーチ・マイケルからすると、依然として”根性”は日本のアドバンテージのひとつなのです。
昔ながらの根拠のない根性論にあまり意義はないと思いますが、説得力のある根性論には意義があると思います。
根性を可視化する
前ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズは日本ラグビーを飛躍的に進化させたといっても過言ではないと思います。
エディーは自著『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』でこう綴っています。
「努力という言葉はよく用いられますが、私は大きな誤解があるように思い
ます。努力は100パーセントのものでないと、意味がありません。80パーセ
ントや50パーセントのものなど、そもそも努力ではないのです」「100パー
セントで行うからこそ、何かを吸収できるのです」
練習に「区切りがないと、緊張感を失い、トレーニングのためのトレーニン
グになってしまう」からだ。だらだらと長時間練習するのは逆効果。時間を
短くし、その分、練習の回数を増やした。
「練習は100パーセントであるべき」というエディーの考えは、『超一流に
なるのは才能か努力か』の著者、アンダース・エリクソンに通じるものがあ
る。同書は“アメリカ版根性”として話題になった『Grit やり抜く力』でも引
用された名著です。
エリクソンは最高の練習法とは何かを論じ、それを「限界的練習」と名付けました。「限界的練習は今日知られている中で最も効果的な手法であり、どのような分野であっても練習方法を考える際にはこの原則を用いるのが最前の道である」
ただし、エディーやエリクソンが正しかったとしても、100パーセントや限界はどう設定するのでしょう。設定が間違っていたら、限界をはるかに越えてしまい、逆効果になりかねません。
テクノロジーによる限界設定
試合における最高強度のプレーはどういうものなのかを定量的に定義しないと、練習が適切かどうかわかりません。そこで登場するのがデータ管理を一元的に行うテクノロジーです。さらに、すごいのは怪我のリスクもデータ化できるようになったことです。
世界中の論文で怪我の前兆となるデータが報告されています。
・月経の数日前は前十字靭帯がちょっとした負荷で切れやすくなる
・睡眠時間が短く(8時間以内)なると、怪我が増える
・直近の4週間の負荷に対して、直近1週間の負荷が急に高まると怪我のリスクが上がる
選手のコンディションを管理・分析する『ONE TAP SPORTS』
『ONE TAP』では、選手に日々主観的な疲労度や痛みを入力してもらい、各個人のベースラインから“標準偏差いくつか分”ずれるとアラートが飛ぶようにしていて怪我を予防することが出来ます。さらに、主観データを長期的にとることで選手個人の体調管理をデータに基づいて行うことが出来る非常に優れたツールです。
このようなテクノロジーの発展は予防医学的観点から考えても非常に優れています。なぜなら、これまで、ケガをした後の治療に重点を置かれていた医学論文が予防にシフトしていく可能性が秘められているからです。
気になる人は↓
https://lp.one-tap.jp/
このアプリはすごいです。まじめにチームコンディションを考えようと思っている人には超おすすめです。
新時代の根性論とは?
“過去の根性論“
指導者の経験と直感のみに依存
“データに基づく根性論“
データ至上主義になりすぎると、デバイスを導入したことに満足したり、数字を過度に信じたりしてしまう
“新時代の根性論“
上記2つのハイブリッド。主観と客観の絶妙なバランスをもとに自分の限界を管理すること