診断

膝外側の痛み

膝外側の痛みは時間が経つにつれて徐々に出てくる場合もあれば、怪我をしてから急に発症する場合もあります。そのため、症状も様々です。

膝外側の痛みは、膝全体の痛みとして出現したり、特定の鋭い痛みであったり、それにより膝の動きが制限されることもあります。また、特定の動作と関係している場合もあれば、関係していない場合もあります。

ほとんどの場合、局所的な膝外側の痛みは、膝外側の構造物(筋肉、靭帯、半月板)の損傷が原因です。

膝外側の痛みの原因

ここでは、膝外側の痛みの代表的な原因、症状、治療方法について見ていきます。

腸脛靭帯炎:Iliotibial Band Syndrome腸脛靭帯炎はランニングを行う人に多く認めますが、痛みが出る人と出ない人にはどのような違いがあるのでしょうか?...
" title="https://jintano-ortho.com/iliotibial-band-syndrome/">腸脛靭帯炎

太ももの外側にある太い繊維状のバンドの損傷です。

外側の膝の痛みの原因として最も多いのがこの腸脛靭帯炎です。

原因使いすぎ、筋肉が硬くなることや筋力低下、ランニングなどの急激な活動量の増加が原因で発症します。偏平足の人はなりやすいというデータもあります。

症状: 膝外側の痛みはランニング、サイクリングなどで悪化します。

https://jintano-ortho.com/iliotibial-band-syndrome/

外側側副靭帯損傷

原因:膝を内側に捻るような急性外傷、膝内側への打撃

症状:膝の不安定感、腫れ、内出血を伴う膝外側の痛みが特徴的で、膝を曲げるとき、歩行時、階段、またはスポーツで悪化します。

外側半月板損傷

ソース画像を表示
INFO COMM SINGAPOREより

原因: 足が地面に設置している状態で膝をひねった時に発症します。

スポーツでの怪我の様に急に起こることもあれば、年齢とともに変性した半月板が摩耗することで徐々に起こることもあります。

症状:膝外側の痛み、ロッキング(膝が動かなくなる)、不安定、膝がまっすぐになりにくいなどの症状が出現します。

膝窩筋腱損傷 膝窩筋腱損傷とは 原因:非接触の強制外旋 症状:靴を脱ぐときの膝裏の痛み 回復までの期間:部分損傷であれば1か月半 ...
" target="_blank" rel="noreferrer noopener" title="https://jintano-ortho.com/popliteus-strain/">膝窩筋腱損傷

Physiopediaより

膝後方やや外側に痛みを生じます。

原因:膝窩筋腱損傷は非接触の外旋により発生します。部分断裂(膝窩筋腱の捻挫)は使い過ぎや加齢による変性が原因と考えられます。

症状:靴を脱いだりするときにこの部分に痛みが出ます。

https://jintano-ortho.com/popliteus-strain/

ファベラ症候群 ファベラ症候群とは 原因:大腿骨外側顆部の後方にあるファベラが繰り返し摩擦される 症状:膝裏の局所的な圧痛、膝を完全に伸ばした時...
" target="_blank" rel="noreferrer noopener" title="https://jintano-ortho.com/fabella/">ファベラ症候群

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-16.png

ファベラ症候群とは、膝の後外側にある小さな骨に起因する異常な状態を示します。この小さな骨をファベラと言います。

原因:大腿骨外側顆部の上にあるファベラが繰り返し摩擦される

症状:膝を完全伸展させると膝後外側部の痛みが増強したり、大腿骨外側顆部を後ろから圧迫すると局所的に痛みを生じる場合もあります。

https://jintano-ortho.com/fabella/

外側の変形性膝関節症

膝外側の関節裂隙が狭くなり、外側を中心に骨棘などが出来ます

原因: 変性変化、加齢、以前に膝を痛めたことがある、または半月板の手術(半月板切除)を受けたことがある場合に発症します。

症状: 膝の鈍い、しつこい痛み、こわばり(特に午前中)、膝がきしむなど、内側に比べて痛みは軽度ですが、なんとも言い難い鈍痛がメインです。

ハムストリング腱炎

Orthoinfo-AAOSより

炎症や変性に伴い外側のハムストリング腱が損傷したり断裂することで発生します。

原因: 使い過ぎ、反復的なジャンピングやキック、加速・減速の多いスポーツ

症状: 押さえると痛い、膝の外側に鋭い痛みがあり、膝の屈曲に抵抗する力を加えると悪化します。運動後の膝外側の痛みとこわばりが特徴的です。

膝外側の痛みの稀な原因

膝の外側の痛みの原因は他にもいくつか考えられます。これらは、非常にまれですが、忘れてはいけません。

近位脛腓関節脱臼

Proximal Tibiofibular Joint Dislocation
Pain assist.comより

近位脛腓関節脱臼は、膝の外側の痛みの稀な原因の一つです。すねの骨(脛骨)の上部と腓骨(すねの外側の膝関節のすぐ下にある、すねの外側を走る小さくて細い骨)の間の関節に症状を呈します。

関節が完全に脱臼するには交通事故などの大きな力が必要ですが、通常はつま先を下に向けて転倒したときに脛腓靭帯が損傷して亜脱臼することもあります。

症状は膝外側の痛みですが、深くしゃがみ込んだ時に不安定感を感じたり、膝の外側が目で見てすぐわかるような変形を呈します。また、腓骨神経の損傷を伴う場合もあり、膝の外側に針が刺さるような鋭い痛みや、しびれが生じたりします。

神経障害

何らかの原因で腓骨神経の通り道に沿って圧迫されると、膝の外側の痛みを引き起こすこともあります。腓骨神経は坐骨神経から分岐し、下腿の外側を通って足裏まで走っています。

神経の痛みとは、針が刺さったような鋭い痛みで、しびれを伴うことが多いです。

腓骨神経の損傷は、膝の外側に強い打撃を受けたときに起こり、これは、皮膚のすぐ下にある神経を押しつぶすことによります。

あるいは、腰椎椎間板ヘルニアのように椎間板の突出などで坐骨神経が圧迫を受けると膝下外側の痛みが出ます。

活動別の膝外側の痛み

ランニングによる膝外側の痛み

ランニングによる最も一般的な膝外側の痛みは腸脛靭帯炎によって生じます。

腸脛靭帯炎では、悪化する恐れのある活動を休むことが本当に重要で、そうしないと慢性化します。トレーニング時間を減らしたり、ランニング自体を一定の期間、完全に止めないといけなくなることもあります。

腫れを生じない膝外側の痛み

膝外側の痛みで腫れを伴わない場合、靭帯損傷や半月板断裂などの損傷ではなく、腱付着部炎腸脛靭帯炎ランナー膝などの使いすぎや変性疾患を疑います。膝外側の痛みで腫れを伴わない場合は、慢性的な問題であることが多いです。

完全伸展したときの膝外側の痛み

足をまっすぐにしたときの膝外側の痛みは、多くの場合、膝関節の内側に何かが詰まっていることが原因であることが多く、典型的には軟骨損傷関節炎によって引き起こされます。怪我をきっかけに起こる時は、外側半月板断裂後の半月板ロッキングを疑います。

屈曲に伴う膝外側の痛み

膝を曲げたときの膝外側の痛みは、膝の屈曲を担っているハムストリングス(太もも裏の筋肉)に問題があるが多いです。膝を屈曲する痛みが膝の中心である場合は膝蓋軟骨軟化症の可能性があります。

しゃがみ込んだ時の膝外側の痛み

しゃがみ込んだ時に膝外側が痛くなる時は、半月板損傷変形性膝関節症などのように膝関節のクッション成分が少なくなっている可能性が高いです。

階段を下りるときの膝外側の痛み

階段を降りる時に膝外側が痛む場合、腸脛靭帯炎外側側副靭帯損傷と関連していることが多いです。痛みがより中心部にある場合は、膝蓋骨に問題がある可能性が高いです。

不安定感を伴う膝外側の痛み

脱力感や膝折れなどの膝不安定感を起こしてしまう場合は、前十字靭帯損傷に関連することが一般的です。前十字靭帯断裂後3週間もすれば靭帯断裂そのものの痛みは引きます。

しかし、3週以降に不安定感に伴って膝外側の痛みがある場合は、外側半月板損傷外側側副靭帯損傷を合併している可能性があります。

膝外側の痛みが足を伝っておりる感覚

膝外側の痛みが、足の方まで幅広くある場合は、筋肉や靭帯や骨などの構造物による痛みではなく、神経の痛みを考えます。
神経の痛みは通常、うずきやしびれなどの異常な感覚を伴います。