半月板って良く耳にするんですけど、いまいちよくわからないんですよね。
半月板は膝の中にあるクッションです。
実は、ただのクッションではないところがこの半月板のすごいところなんです。
クッション以外の役割があるということですか?
クッションの役割以外に関節の中に栄養を送ったり、膝の動きをスムーズにしたりしているんです。
ふーん。 で?
半月板が痛むとクッション性がなくなることは何となくわかります。
でも、どのようにそのクッション性が保たれているのかを知っている人は少ないのではないかと思います。
それ以外にも実は、栄養や膝の動きに関連している組織として有名なのです。
膝の上の股関節はボールとグローブのような関係をしていて非常に安定して動きます。
膝の下の足首もパズルのピースをはめ込むような感じで鋳型構造をしているため、非常にしっかりしています。
膝はどうでしょう?
上の骨(大腿骨)と下の骨(脛骨)は上記二つの関節に比べてかなり不安定な作りになっています。
それをうまいこと仕上げてくれるのが半月板です。
この章では半月板がいかに大事なのかを説明した後に、怪我をすると、なんでヤバいのかということを説明していきます。
半月板の解剖
これは、大腿骨を除いて膝を上から見た状態です。
黒くなっているところは血管です。半月板の硬さは焼き鳥屋で食べる’軟骨’と同じぐらいです。
かなりしっかりしていて、ちょっとやそっとでは傷つくことはありません。
内側と外側で形が違いますよね。内側は大きく「Cの字」、外側は小さく「ドーナッツ」のようです。
形が違うということは、役割も違うということです。
どちらの半月板も膝の衝撃を分散するという点においては、同じクッションの機能を持っています。
内側の半月板は骨にしっかりとくっついていてほとんど動きません。それに対して外側の半月板は前後に可動性を持っています。
膝は曲げると、脛骨が内側に回ります。伸ばすと外側に回ります。
この動きを可能にしているのが半月板です。
内側半月板が動かずに支点となり大腿骨をしっかりと捕まえます。一方、外側半月板が後方に動くことで脛骨を回転させながら膝を曲げることが出来るのです。
良くわからないですね。
動画を載せます。46秒あたりから見てください。
もう一つの役割は関節の中、特に靭帯に栄養を送る役割をします。
この役割のほとんどは外側半月板の前方部分が担います。
前十字靭帯という大切な膝の靭帯に血液を供給します。
半月板の血管
ヒトの体はいたるところに血管が走っています。もしも、怪我をした場合は血が出ますよね。
血が出るということは自分の力で名をすことが出来るということなんです。
もう一度、この画像を見てください。
半月板の中には黒い部分(血管)がないのが分かりますか?
そうなんです。半月板には血が通っているところと通ってないところがあるのです。
半月板の辺縁は黒く染まっているのに、内側は黒くならない。
つまり、辺縁は治りやすいけど、内側は治りにくいという特性も持ち合わせているのです。
膝にかかる衝撃
人間の体は歩いたり走ったりするようにできているので、walkingやrunningはとても理にかなった運動だと言えます。
しかし、これは膝が衝撃をうまく吸収・分散しているからできるのです。
ちなみに、膝の衝撃は体重に比例します。
歩いているときには体重の3倍
走っているときは体重の5倍
の力がかかると言われています。
膝の痛みで整形外科を受診すると、体重を減らすように言われるのはこのためです。
この、大きな衝撃を分散させているのが半月板なのです。
こう考えると半月板ってすごい奴だと思いませんか?
半月板が痛む原因
半月板の断裂は、特定の怪我によって突然起こる場合と、摩耗によって徐々に起こる場合があります。
怪我
半月板損傷は、サッカー、ラグビー、スキーなどのスポーツをしている時に起こります。
スポーツ中の怪我で半月板損傷を起こすメカニズムは次のような時です。
1、足が床に設置している
2、膝は少し曲げた状態
3、体を外側に向かって勢いよく回転させる
1、足が地面に設置している
2、タックルなどが膝の外側に入る
3、膝が内側に曲がる
*内側側副靭帯断裂と同時に起こることが多い
外傷性半月板の治療管理(ESSKA:2019年版)です。
興味がある人はどうぞ。
英語はちょっとという人のために全訳してます。 思い出すように見てもらえればいいかなと。。
変性
年齢ですね。
体の組織はどの部分でも、年齢とともに古くなっていきます。
半月板も同じです。
これはしょうがないことで、若い時の弾力性や硬さをだんだんと失っていきます。
そのため、若いころと同じような感覚でいきなりスポーツを始めると、半月板に傷がつきます。
始めは”ささくれ”のような感じですが、ほころびが広がると断裂という形になります。
どのくらいの年齢から体が年を取っていくかという問題ですが、
はっきりということはできませんが、多くの文献でのカテゴリー分けは30歳となっています。
30歳を超えると半月板の弾力性が低下し、半月板損傷の原因は怪我ではなく摩耗に変化していきます。
下の画像を見てください。上の半月板が変性半月板、下が正常です。
なんか、クシャっとつぶれている感じですよね。
実際は、ここまでひどくはないのですが、手術しなければいけない人はこのような感じになっていることが多いです。
変性した半月板を損傷することは、変形性膝関節症に移行する可能性があります。
予防方法は別の項で説明しますね。