変形性膝関節症と診断された人で膝の筋力トレーニングを勧められたことのない人はいないのではないでしょうか?
なぜ、筋トレを勧められるのでしょうか?
それは、あなたが楽に生きることが出来るようになるからです。
整形外科的に考える変形性膝関節症の人が筋力トレーニングをする理由は3つです。
- 関節可動域を維持する
- 関節を支える筋肉を強くする
- 筋肉で関節への衝撃を和らげる
しかし、根本的には健康で生きていくために膝の痛みを和らげるんですよね。
ここでは、どうやって筋トレをやっていいかわからないという人の悩みにこたえていきます。
最後に平均寿命と健康寿命について話そうと思います。
この二つの違いを明確にとらえることでこれから取り組む筋トレに一層磨きがかかることと思います。
膝が痛くて変形性膝関節症という診断を受けています。
でも、手術はしたくないんですよね。
痛みをとる何かいい方法はありますか?
膝が痛いのであれば、筋肉を鍛えましょう!
分かりました。
でも、何をやればいいのですか?
足を伸ばして、ぐっと力を入れる。
詳しいことはこの紙に書いてあるから、これ見といて。
うん、全然わからん。。。
時間の限られた外来では、まぁ、こんな感じで話が進みますよね。
後半で、この運動にどういう意味があるのかを解説しています。
最後に平均寿命と健康寿命について話します。
興味があれば参考にしてください。
皆がハッピーになれるように!
それでは、行きましょう。
はい、お疲れ様でした。疲れましたね。特に2番目。
それに、2番目は膝と関係ないことまでやってない?と思いますよね。
変形性膝関節症の患者さんは、大腿四頭筋、ハムストリングス、股関節外転筋など、複数の筋群にわたって相対的に筋力が低下していることが分かっているんです。つらいです。
でも、私は筋力強化についてはこの3つで十分だと考えています。
それよりも大事なことは、これを継続することです。
どのくらい継続するかというと、3か月から半年です。
うっ!そんなに。。。という感じですよね。
筋トレの効果は約3か月おきに目に見えてきます。そのため、最低でも半年は行うようにしてください。
最初は週に2回程度でいいと思いますが、効果が実感できて、やる気が出てくればどんどん回数を増やしてください。
今は想像できないと思いますが、継続することで筋力が付き、これだけでは物足りなくなってきます。
そんな人のためにちゃんと用意してます。次なる地獄を。
後半でもう少し強めの筋トレを紹介します。これをクリアできれば日常生活で不安になることはないです。
大腿四頭筋の重要性
大腿四頭筋の主な働きは、膝をまっすぐにすることですが、股関節を曲げる役割もしています。
つまり、日常生活で必要な動作はこの筋肉抜きでは考えられません。
例えば、歩く・走る・椅子から立ち上がる・2階に上がるなど、足が地面に設置している間は、ずーっと、この筋肉が頑張ってくれています。
大腿四頭筋は、太ももの前面にある4つの筋肉のグループです。
これは、内側広筋、中間広筋、外側広筋、大腿直筋の4つの筋肉から構成されていますが、一番最初の動画では内側広筋を鍛えています。
2番目の動画では股関節から膝に至る筋肉を鍛えています。
大腿四頭筋の中間広筋、外側広筋、大腿直筋を刺激しています。
さらに、この筋肉はお尻の筋肉と協同して働くことで更なるパワーを発揮します。
そのため、お尻の筋肉を同時に鍛えることも大事なのです。
ハムストリングをリラックスさせる
膝の悪い人の多くは腰も悪いです。そのため、整形外科外来のほとんどは膝か腰が痛い人が多いのです。
その理由は、膝が痛くなると体を動かさなくなり、膝周りの筋肉が低下します。
その後、膝で体重を支えにくくなると体が前に倒れてきます。
つまり、腰を曲げて2足歩行を保とうとする防御本能が働くんです。
これについては、こちらで詳しく説明しています。
膝の痛い人はハムストリングを酷使し続けているんです。
というか、ハムストリングがうまく機能していません。
そのため、このストレッチはとても重要です。
もっと筋力を鍛えたい人のために
一つ言っておきます。
キツイです。
それでもという人はさらなる高みを目指してみてください。
若い頃ってこんなに体が軽く感じていたんだと実感できると思います。
上で紹介した膝周りの筋トレ動画も継続してやるので、まとまりのある曜日でわけてやってもいいですね。
月、水、金は膝周りのトレーニング(上で紹介したもの)
火、木、土はスクワット+体幹トレーニング
など、自分の好みに合わせてトレーニングしてみてください。
平均寿命とは?
いきなり話題がガラッと変わります。落ち着いてください。関係はあります。
読んでみましょう。
平均寿命とは、0歳時点で何歳まで生きていられるかということを統計的に予測した平均余命のことです。
難しいですが、例えば、現代に生まれたばかりの赤ちゃんが事故などの予期し得ない事象を除いた時に何歳まで生きていられるかというものです。当然、戦時中は平均寿命は低くなります。
医療の進歩や生活環境が良くなっていく中で日本の平均寿命はどんどん上がってきました。
明治32~36年:男性44歳 女性45歳
昭和25年:男性58歳 女性62歳
平成12年:男性77歳 女性85歳
平成28年:男性80歳 女性87歳
明治時代の日本の平均寿命は40代前半でした。男女ともに50歳を超えたのは1947年ごろです。
さらに、75歳を超えたのは1986年です。短期間で飛躍的に伸びています。
健康寿命とは?
私たちの寿命は伸び続け、今では人生90年に手が届こうとしています。さらに、現在60歳のひとの4分の1の人は90歳近くまで生きるという見方もあります。
元気に自立して過ごせる期間のことを健康寿命と言いますが、平成28年の厚生労働省のデータによると、平均寿命に比べて男性は約9年、女性は約12年も短いことが分かりました。
このことは支援や介護を要する期間が平均で9~12年もあるということです。
察しがいい人は気づいたかもしれませんが、進み続ける少子高齢化時代に自分を支援または介護してくれる人が当然のように存在するというのは幻想です。医療保険もいつ破綻するかわからないようなところまで来ています。
長生きできるという保険を背負わされた現代の私たちが本気で考えないといけないのは、自分の健康は自分で管理するということです。