REST: Rest(安静), Ice(冷却), Compression(圧迫), Elevation(挙上)は、ケガの治療のために使われてきた経典のようなものです。
最近では、「保護する:Protect」というカテゴリーが追加されたので、
PRICEという頭文字をとっています。
PRICEは、大抵の怪我の痛みに効果的で、ドンドン強くなる痛みを最も効果的に抑えることが出来る方法です。知っておいて損は絶対にないです。
膝に関していうとこのPRICEは怪我した膝の内出血や腫れを抑えて痛みを軽減させます。
ここでは、それぞれの構成要素とそれらがどのように連携して働くかを見ていきます。
PRICEはどんな時に使うの?
PRICEの組み合わせは、軟部組織(筋肉、靭帯、腱)の損傷に特に適しており、最終的な治療というよりも応急処置と考えられています。
適切に使用することで、怪我からの回復時間が短縮し、痛みを最小限に抑えることができます。
整形外科を目的に救急外来を受診したときに医師から施される治療は実はこの5点が基礎になっています。
Protect(保護する):サポーターや松葉杖などを使用して、関節の損傷を防ぐことを目的としています。
Rest(安静にする):怪我を悪化させると考えられる活動をできるだけ避けることによって治癒を早めます。
Ice(冷やす):あらゆる膝の腫れおよび痛みを減らすのに使用することができます
Compression(圧迫):関節の周りに圧迫用の包帯を巻くことで膝の腫れを抑えることができます。
Elevation(足を上げる):足を上げ、できれば心臓の高さよりも上に上げることで、膝のむくみを軽減することができます。
痛みや腫れを軽減して怪我の再発を防ぎ、治癒を早めるためには、Protect, Rest, Ice, Compression, Elevation各パートの安全で効果的な方法を知ることが重要です。
これからPRICE個々の構成要素について詳しく見ていきます。
Protect(保護する)
身体の一部を負傷したら、一時的(最初の48時間)に保護することで、それ以上の負傷を制限し、怪我の回復を早めることができます。
“保護する”とは、ギプス、膝サポーター、包帯を装着したり、松葉杖を使用したりすることで膝の曲げ伸ばしを制限することを意味します。
大事なのはケガして48時間は痛みの原因となる活動は避けるということです。
Rest(安静にする)
安静にしていないと、患部に負担がかかり続けるため、膝の腫れや痛みが増し、さらに怪我をする可能性が高まります。また、安静にしておかないと、患部が適切に治癒しないリスクもあります。
しかし、完全な安静(ベットに寝て、全く足を使わずにいると)を行うとには、筋肉は毎日3~5%の力を失ってしまいます。重要なのは「Relative rest:適度な安静」です。
怪我をした後の数日間は、体重をかけすぎたり、ストレッチをしすぎないようにしましょう。
数日後には少しずつ体を動かしていくことが本当に重要です。そうしないと筋肉が弱くなり、関節が硬くなってしまいます。
安静にしている間に筋力が低下しないようにするための膝を動かし始めるためのやり方については、以下のページをチェックしてください。
*運動の開始時期については必ず医師に確認してください。自己判断は禁物です。
Ice(氷で冷やす)
氷を10~15分ほど使用すると、膝の腫れや痛みが軽減されます。
膝を怪我すると、関節内に出血をおこし、関節液の量が増えます。関節液が増えると、2つの理由で問題となります。
第一に、関節包(関節の袋)に関節液が溜まると、関節内の圧力を高め、膝の動きが制限されます。
第二に、関節液の中には、神経に働きかけて痛みを引き起こす化学物質が含まれています。
氷を使用すると、液体の流れが遅くなり、関節内への出血速度が遅くなるため、腫れや痛みが軽減されます。
Compression(圧迫する)
これは、膝の腫れを軽減するのに役立ち、膝を安定させることが出来ます。圧迫しても多少の腫れは避けられませんが、圧迫せずにいると、腫れが過剰になり耐えられない痛みと伴に、膝を動かすことが難しくなります。最終的には血流が悪くなり、治りが遅くなるということになります。
膝を圧迫して維持する最も効果的な方法は、特別に設計された伸縮性のある包帯を使用することですが、安い薄手のサポーターも効果的です。
Elevation(足を上げる)
足を上げることで、余分な体液が心臓に戻ることで、尿として体の外に排出されます。膝のむくみを軽減するにも効果的です。最も効果的な方法は、患部を心臓の高さよりも高くすることです。これは日中だけでなく、夜寝ているときにも行うことが出来ます。ポイントは足の真下だけではなく、膝の真下から足にかけて支えがあることを確認してください。腫れが残っている間は、足を上げることは効果的です。
これらすべての異なる要素を組み合わせることで、効果的な応急処置ができます。
怪我によって受けたダメージの程度を減らすために、怪我をした後はできるだけ早くPRICE行うことをお勧めします。
はじめに話したようにPRICEは応急処置で会って最終的な治療ではありません。しかし、その重要性はしっかりわかってもらえたはずです。
PRICEを2日間やっても治りがイマイチという人は病院受診してくださいね。(耐えられない痛みは骨折の可能性があるので早めの受診を。軟部組織の怪我と骨折は治療法が若干異なります。)