病態

膝の特発性骨壊死:今のところ何がわかっているのか?


International orthopaedicsに投稿されたレビューになります。

International Orthopaedics 2020

Spontaneous osteonecrosis of the knee: what do we know so far? A literature review

Abstract
Purpose Spontaneous osteonecrosis of the knee (SONK) is said to be a relatively common disease which may lead to an endstage
osteoarthritis of the knee. The aim of this paper was to review the literature on this field published until now, discuss the
results of both conservative and surgical treatment options, as well as to introduce new methods of treatment, which may be
applicable in SONK treatment.
Methods We searched the PubMed and Cochrane databases until November 2019 and presented themost recent findings in this work.
Results The exact aetiology of SONK still remains unclear; however, recent studies suggested that early stage of SONK is rather
a result of the subchondral fracture than primary osteonecrosis. So far described conservative treatment includes non-weight
bearing or protected weight bearing with a knee brace, nonsteroidal anti-inflammatory drugs, analgesics, and bisphosphonates.
Surgical management includes arthroscopic debridement, core decompression, osteochondral autograft, high tibial osteotomy,
and unicompartmental knee arthroplasty or total knee arthroplasty.
Conclusions Although the aetiology of SONK remains unknown, there are many treatment options, and the choice of the most
suitable one is challenging. We think that subchondroplasty may be one of the effective methods.

<要約>

目的

特発性膝骨壊死(SONK)は、比較的一般的な疾患であり、変形性膝関節症の末期に至る可能性があると言われている。本論文の目的は、これまでに発表されたこの分野の文献をレビューし、保存的治療と外科的治療の両方の治療法の結果を議論するとともに、SONK治療に適用可能な新しい治療法を紹介することである。

方法

2019年11月までのPubMedおよびCochraneデータベースを検索し、最新の知見を提示した。

結果

SONKの正確な病因はまだ不明であるが、最近の研究では、SONKの初期段階では特発性骨壊死というよりもむしろ軟骨下骨の骨折(SIFK)の結果であることが示唆された。これまでのところ、保存的治療としては、膝装具による免荷または一部荷重、非ステロイド性抗炎症薬、鎮痛薬、およびビスフォスフォネート製剤などが挙げられる。外科的管理には、関節鏡下デブライドメント、骨軟骨移植、高位脛骨骨切り術、および単顆型人工膝関節(UKA)または全人工膝関節(TKA)が含まれる。

結論

SONKの病因は未だ不明であるが、治療法は多くの選択肢があり、その中から最適なものを選択することは困難である。その中で、subchondroplasty(関節温存手術)は有効な方法の一つではないかと考えています。

本文はこちら↓

Int-Orthop-2020-Spontaneous-osteonecrosis-of-the-knee-what-do-we-know-so-far-SONK-1

本文中にはSONKという定義の変換や、その原因。さらに保存療法と外科治療について書かれています。

外科的治療については人工関節置換術から関節温存手術の変換を提案しています。これは元気な高齢者が増えてきたことが背景にあるように思います。人生100年時代が提唱されているため、人工関節の耐久性も考え直さないといけないのかもしれません。しかし、関節鏡による関節温存術は年齢が比較的若く、変形が少ない患者に限定され、さらに人工関節よりも長期の免荷期間が設定されるというデメリットもあるため、総合的に判断し、患者さんの納得いく治療をしていく必要があると思います。そう考えると今後はHTOの需要が増えてくるのかもしれませんね。

保存加療については免荷期間について言及しており、著者らは6週間を推奨している。これに関しては、はっきりとしたエビデンスはないものの、臨床的には有意義のようにも思えます。さらに、骨粗鬆症治療を併用すると効果的との報告もあるため、今後の研究に期待したいところです。

最後に先端医療を紹介している(SCP: subchondroplasty)。これに関してはまだまだ時間がかかりそうですが、新たな手術アプローチが誕生するかもしれません。

論文のまとめをPDFにしています。PWP1枚にまとめているので字が小さいですが、ズーム機能を使用してみてください。興味がある人はどうぞ。

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